「インサイドセールス部門を立ち上げてほしい」と言われたものの、テレアポと何が違うのかを自分の言葉で説明できない。展示会やWebでリードは獲れているのに、フォローしきれず放置されたままになっている。新規採用の予算はつかず、既存の営業メンバーを数名アサインして数か月で稼働させる必要がある――そうした状況で、あらためて言葉の意味から確認しようとしている方は少なくありません。
ここで「インサイドセールスとは、電話で効率よくアポを取る部隊のことだ」と理解してしまうと、立ち上げは高い確率でつまずきます。買い手が営業に会う前に検討を進める流れは、年々強まっているからです。HubSpot Japanの「日本の営業に関する意識・実態調査2026」(2025年10月調査、買い手515名)では、購買を検討する際に生成AIを使った経験がある買い手が36.7%にのぼり、そのうち52.4%が「当初検討していなかった製品・サービスが候補に加わった」、55.3%が「得た情報が最終的な意思決定に影響した」と回答しています。営業が直接接触する前の「デジタル上の情報収集段階」で、すでに顧客の比較検討や購買意思決定が動き始めているということです。


(出典:HubSpot Japan 「日本の営業に関する意識・実態調査2026」)
この環境で求められているのは、架電量を増やすことではありません。獲得したリードをどう商談に変えるかという、営業プロセスそのものの設計です。
つまりインサイドセールスとは、非対面の営業手法の名前ではなく、リードを商談に変えるプロセスを設計する仕事です。この捉え方を外すと、どれだけ人を集めても「インサイドセールスという名前のテレアポ部隊」になってしまいます。
本記事では、インサイドセールスの定義やテレアポ・フィールドセールスとの違い、仕事内容やKPIの設定方法、さらには立ち上げ時に最初に決めるべき3つのポイントと失敗の回避策までを網羅して解説します。読み終えたときには、「自社の立ち上げで何を決めればよいか」の具体策と、役員や現場を説得するための明確な言葉が手元に残るはずです。
「インサイドセールスとは?」を調べているあなたへ――電話でアポを取る部隊、という理解のままでは立ち上げは失敗する
インサイドセールスの立ち上げでつまずく組織には、共通点があります。作る前に「何をもって成果とするか」を決めていないことです。役割と評価指標が曖昧なまま人だけを配置すると、担当者は結局、いちばん分かりやすい行動――電話をかけてアポを取ること――に流れていきます。
この落とし穴は、営業経験が長い方ほど踏みやすいものです。訪問営業とテレアポで成果を出してきた方にとって、「電話で見込み客に接触する仕事」は既知の業務に見えます。そのため、過去に自分が管理していた指標(架電数、アポ獲得数)をそのまま持ち込んでしまう。悪意も手抜きもなく、経験があるからこそ起きる取り違えです。
もう一つ、多くの企業が抱えているのがリードの放置です。展示会で数百枚の名刺を集め、Webから毎月問い合わせが入っていても、フィールドセールスが提案と受注で手一杯であれば、そのほとんどは誰にも触られないまま時間だけが過ぎていきます。マーケティングにかけた費用は、この時点で回収されずに消えています。
本記事の結論を先にお伝えします。インサイドセールスとは、電話で効率よくアポを取る部隊ではなく、リードを商談に変えるプロセスを設計する仕事です。 手段が非対面であることは結果にすぎず、本質は「マーケティングが獲得したリードを、フィールドセールスが受注できる商談の形にして渡すまでの一連の流れをどう組むか」にあります。
この前提に立つと、立ち上げでやるべきことの順番も変わります。トークスクリプトやツールの選定ではなく、役割の範囲・リードの引き渡し基準・KPIという3つの線引きが先に来ます。

まずは定義から確認していきます。ただし、「何をする仕事か」より「どこを担う仕事か」で捉えてみてください。
インサイドセールスとは(定義と、営業プロセス上の役割)
インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン会議などの非対面の手段で見込み顧客と関係を築き、商談を創出する営業機能です。ただし、この定義で重要なのは「非対面」という手段ではありません。リードを獲得した後から、商談化してフィールドセールスに渡すまでという担当範囲のほうです。
インサイドセールスの定義
インサイドセールス(Inside Sales、IS)は、非対面のコミュニケーション手段を使い、見込み顧客との関係構築から商談創出までを担う営業機能です。単なるアポイントの獲得ではなく、対話を通じて顧客の課題を整理し、購買に向けた検討を前に進める「支援」を行うことが本質です。
手段は電話に限りません。メール、オンライン会議、チャット、資料の送付など、相手の検討段階に合わせて使い分けます。「電話をかける仕事」という理解は、業務の一部を全体だと捉えてしまっている状態です。
「内勤営業」という訳語も広く使われていますが、この訳は誤解を招きやすい面があります。オンライン商談が定着した現在、フィールドセールスも社内から商談を行いますし、インサイドセールスが重要な案件で訪問に同席することもあります。働く場所は、役割を分けた結果として現れるものであって、役割の定義そのものではありません。
営業プロセスのどこを担うのか(マーケ〜IS〜FS)
インサイドセールスの担当範囲は、マーケティングが獲得したリードを受け取り、フィールドセールスが提案できる状態まで育てて引き渡すまでです。
3つの部門の役割を並べると、次のようになります。
- マーケティング:展示会・Web・広告などを通じて見込み顧客との接点をつくり、リードを獲得する
- インサイドセールス:リードと継続的に接触し、課題や検討状況を把握しながら関係を育て、商談として渡せる相手を見極める
- フィールドセールス:引き渡された商談に対して提案・見積・条件交渉を行い、受注まで導く
この流れを見ると、インサイドセールスは前後の部門をつなぐ「つなぎ目」に位置していることが分かります。そして、つなぎ目であるがゆえに、単独では成果が定義できません。どのリードを受け取るのかはマーケティングとの合意で決まり、何を渡せば成果なのかはフィールドセールスとの合意で決まります。インサイドセールスの設計が、実質的にはマーケティングから受注までの営業プロセス全体の設計になるのはこのためです。
たとえば、Webから資料請求したリードをマーケティングが渡し、インサイドセールスがヒアリングして課題と検討時期を確認し、条件が揃った段階でフィールドセールスに商談として引き渡す。この一本の流れをどう定義するかが、立ち上げの実体です。
なお、こうした分業の考え方は、福田康隆氏の著書『THE MODEL』(翔泳社、2019年)で体系化され、国内のBtoB営業組織に広く参照されるようになりました。マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスがそれぞれの工程を担い、共通の指標でつながるという分業モデルです。ただし、これは特定の業種・商材で有効性が確認されたモデルであり、そのまま自社に移植すれば機能するわけではありません。自社のリード数・商材・人員に合わせて縮尺を変える必要があります。

インサイドセールスのゴールは「アポ」ではなく「有効商談」
インサイドセールスの成果は、獲得したアポイントの数ではありません。フィールドセールスが提案でき、受注につながる可能性のある商談――いわゆる有効商談を生み出すことです。
アポイントと有効商談は違います。フィールドセールスが訪問したものの、相手は単なる情報収集の段階であり、自社で解決すべき明確な課題を持たず、検討を進める意志もない。この面談は「アポイント」ではありますが、「有効商談」ではありません。フィールドセールスの半日を使った割に、パイプラインには何も積み上がっていないからです。
この違いを言い換えると、インサイドセールスの成果は「渡した時点」ではなく「渡した後にどうなったか」で決まるということになります。渡した商談がその後どう進んだかを追えて初めて、自分たちの見極めが正しかったかを判断できます。
そして、この成果の定義がそのままKPI設計の土台になります。何を成果と呼ぶかを決めないままKPIを置くと、測りやすい数字――架電数やアポ数――に引き寄せられるからです。
ここまで読んで、「それはテレアポと何が違うのか」と感じた方もいるはずです。次にその違いを整理します。
インサイドセールスとテレアポ・フィールドセールスは何が違うのか
テレアポとインサイドセールスは、同じ電話を使っていても、目的・対象・時間軸・評価指標がすべて異なる別の仕事です。そして両者を分ける決定的な違いは、「やり方」ではなく「何で評価するか」にあります。
3者の役割を並べると、次のように整理できます。
| 比較項目 | テレアポ | インサイドセールス | フィールドセールス |
|
目的 |
アポイントの獲得 |
受注可能性のある商談(有効商談)の創出 |
商談を受注に変える |
|
対象 |
接点のないリスト全般 |
資料請求・問い合わせなど関心を示した見込み顧客、および狙って接点をつくった企業 |
引き渡された商談 |
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時間軸 |
単発(架電したその場で完結) |
継続(数週間〜数か月かけて関係を育てる) |
商談期間中(提案〜クロージング) |
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主なKPI |
架電数、アポ獲得数 |
有効商談数、商談化率、受注貢献額 |
受注数・受注率、受注額 |
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必要なスキル |
短時間で興味を引くトーク、量をこなす体力 |
ヒアリング設計、検討状況の見極め、記録と情報整理 |
課題解決型の提案力、交渉力、社内外の巻き込み |
インサイドセールスとテレアポの違い
テレアポの目的はアポイントの獲得、インサイドセールスの目的は受注可能性のある商談の創出です。この目的の違いから、対象・時間軸・評価指標のすべてが変わります。
目的の違いが最も大きな分岐点です。テレアポは面談の約束を取り付けた時点で役割が完了します。インサイドセールスは、相手の課題・予算・検討時期・決裁の流れを把握したうえで、「今フィールドセールスが会う価値がある状態か」を見極めるところまでを担います。まだ検討が早い相手には、あえて商談を設定せず情報提供を続ける判断も業務のうちです。
対象リードの違いもあります。テレアポは接点のないリストへの架電が中心です。インサイドセールスは、資料請求や問い合わせなど何らかの関心を示した相手を主な対象とします(狙った企業に能動的にアプローチする型もありますが、これは後述するBDRにあたります)。
時間軸の違いは、業務の設計に直結します。テレアポは1回の架電で完結しますが、インサイドセールスは「今は時期ではない」相手も含めて中長期で関係をつなぎます。検討期間の長いBtoB商材では、最初の接触から商談化まで数か月かかることも珍しくありません。
そしてKPIの違いです。テレアポは架電数とアポ獲得数、インサイドセールスは有効商談数と商談化率で測ります。ここが、両者を分ける決定的な違いです。
ここで補足しておきたいのは、テレアポという手法そのものを否定しているわけではないということです。ターゲットが明確な新規開拓では、電話を起点とした能動的なアプローチは今も有効です。違いは手段ではなく、何を成果とみなすかにあります。
詳しく知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
▼インサイドセールスとテレアポの違いとは?誤解されがちな両者の違いを解説
インサイドセールスとフィールドセールスの違い
インサイドセールスは商談を創るまで、フィールドセールスは商談を受注に変えるまでを担います。優劣ではなく、1本の営業プロセスを前工程と後工程で分担しているだけです。
要点を整理すると次のようになります。
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比較項目 |
インサイドセールス |
フィールドセールス |
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担当フェーズ |
リード獲得後〜商談化まで(前工程) |
商談化後〜受注まで(後工程) |
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主な手法 |
電話、メール、オンライン会議、SFA/MAでの履歴管理 |
提案・見積提示、条件交渉、稟議支援 |
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主なKPI |
有効商談数、商談化率 |
受注率、受注額 |
前工程がなければ商談は生まれず、後工程がなければ売上にはなりません。どちらが上位ということはなく、この点は既存メンバーを異動させる際の説明でも重要になります。
両者の役割分担、引き渡し基準(SLA)、KPIの整合をどう設計するかは、それだけで一つのテーマになります。分業したのに成果が出ないケースの原因と、連携の仕組みの立て直し方は「"営業の分業"はできた。でも成果が出ない理由とは?」はこちら。
詳しく知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。
▼インサイドセールスとフィールドセールスの違い|比較表と分業体制の作り方5ステップ
違いを決めるのは「やり方」ではなく「何で評価するか」
同じ人が同じ電話をかけていても、アポ獲得数で評価すればテレアポ部隊になり、有効商談数で評価すればインサイドセールスになります。違いを決めているのは、行動そのものではなく評価指標です。
これは精神論ではなく、単純な因果です。人は評価される指標に向かって行動を最適化します。「今月アポ30件」という目標を置けば、担当者は月末に近づくほど、温度の低いリードにも無理にアポを取りにいきます。そうしなければ評価されないからです。本人の意識の問題ではなく、指標が行動を規定しているだけです。
だからこそ、KPI設計は立ち上げの中核に位置します。役割定義を丁寧に書いても、KPIをアポ数に置いた瞬間に、その定義は現場では無効になります。具体的にどの指標をどう置くかは、後述の「インサイドセールスのKPI」で詳しく扱います。
では、なぜ今この分け方が広がっているのでしょうか。
なぜ今インサイドセールスが必要とされているのか(導入のメリットと注意点)
インサイドセールスが求められている理由は単純です。買い手が営業に会う前に検討をかなり進めるようになった一方で、営業人員は増やせないからです。限られた人数で多くのリードを扱う必要が生じ、その工程を専任で持つ機能が要るようになりました。
まず、買い手の側の変化です。HubSpot Japanが2026年6月に実施した「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」(調査:マクロミル、従業員50名以上の企業で購買に関与する1,573名が対象)によれば、買い手が営業担当者と接触する時点で、63.5%がすでに複数の候補をリストアップした段階以降まで検討を進めているという結果が出ています。内訳は、複数候補をリストアップ済みが29.6%、数社に絞り込み済みが18.7%、要件・比較表・稟議資料まで準備済みが8.8%、第一候補が決まっているが6.4%です。さらに9.0%は、営業担当者と接触しないまま購買を決めています。
(出典:HubSpot Japan「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」)
この数字が意味するのは、フォローが遅れた時点で、すでに検討の輪から外れている可能性があるということです。問い合わせから1週間後に電話をかけて「ちょうど今、他社さんに決まりまして」と言われる。その背景には、買い手側の検討が営業の接触前から進んでいるという構造があります。
一方で、人員を増やして対応するという解き方は現実的ではなくなっています。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026年4月16〜30日調査、有効回答10,538社)では、正社員が不足していると感じる企業は50.6%、業種別で見ると情報サービスが66.7%と最も高い水準になっています。


(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」)
つまり多くの企業にとって、「営業を増やしてリードを全件フォローする」という選択肢は最初から取れません。既存の人員配置を組み替え、限られた人数でリードを捌く仕組みを作るほうが現実的だという判断になります。インサイドセールスの立ち上げが、新規採用ではなく既存メンバーの再配置で始まることが多いのは、この制約が背景にあります。
この2つが重なった結果として起きているのが、リードの放置です。
たとえば展示会で500件の名刺を獲得しても、フィールドセールス10名がそれぞれ既存商談を抱えていれば、全件に接触することはできません。すぐに商談化しそうな数十件に手をつけ、残りはリストに眠ったままになります。そして半年後、その中の何社かが競合と契約している――という流れです。
この構造の問題は、失注として記録すら残らない点にあります。接触していないので、なぜ受注できなかったのかも分かりません。マーケティングへの投資は、成果を検証されないまま消えていきます。
では、インサイドセールスを機能させると何が変わるのか。期待できる効果は次の4点です。
- 商談の質が安定する:一定の基準で見極めた商談だけがフィールドセールスに渡るため、訪問しても何も進まない商談が減ります
- フィールドセールスが提案と受注に集中できる:リードの掘り起こしと見極めを前工程が担うことで、後工程は単価の高い活動に時間を使えます
- 営業活動がデータで可視化される:誰にいつ接触し、どの段階で商談になり、どこで失注したかが記録として残るため、勘と経験に頼らない改善ができるようになります
- 顧客体験(CX)が向上する:インサイドセールスが継続的に伴走することで、顧客は自身の検討状況に合った適切な情報や課題整理の支援をベストなタイミングで受け取ることができます
特に3つ目のデータの可視化は、SFA/CRMが「活動履歴の備忘録」で止まっている企業にとって、大きな変化になります。
ただし、注意点を一つ添えておきます。「インサイドセールスを置けば売上が上がる」というのは誤りです。 上がるのは、リードを商談に変えるプロセスを設計し、それが回り始めたときです。組織図に部署を追加しただけでは何も変わりませんし、成果が数字に現れるまでには、商材の検討期間に応じた時間もかかります。この点は、経営層への説明でも重要になります(後述の「社内をどう巻き込むか」で扱います)。
では実際に、インサイドセールスは日々どんな仕事をしているのでしょうか。
インサイドセールスの仕事内容――1日の動きと、担当する業務
インサイドセールスの仕事は架電だけではありません。リードの優先順位づけ、ヒアリング、情報提供、商談化とフィールドセールスへの引き渡し、そして記録までが一連の業務です。
インサイドセールスの主な業務
インサイドセールスが担う業務は、大きく5つに整理できます。
- リードの優先順位づけ:流入したリードを、企業規模・業種・行動履歴(資料の閲覧、セミナー参加など)から見て、どこから接触するかを判断します。全件に同じ密度で対応することはできないため、この見極めが処理量を左右します
- ヒアリング:接触した相手から、抱えている課題、検討の背景、予算の目安、決裁の流れ、導入したい時期を聞き取ります。商談として渡せるかどうかを判断する材料を集める工程です
- 情報提供とナーチャリング:まだ検討段階にない相手に対して、事例やセミナーの案内など有益な情報を継続的に届け、関係を保ちます(ナーチャリング=見込み顧客を育成する活動のことです)。今すぐの商談にならない相手を切り捨てず、時期が来たときに想起される状態を作ります
- 商談化とフィールドセールスへの引き渡し:基準を満たした相手を商談として設定し、それまでに聞き取った情報を添えてフィールドセールスに渡します。情報を渡さずに日程だけ引き継ぐと、後工程は最初からヒアリングをやり直すことになります
- SFA/CRMへの記録:誰にいつ何を話し、相手がどの段階にいるかを記録します。この記録がKPIの計測と改善の土台になります
このうち電話をかけている時間は、業務全体の一部にすぎません。事前の情報整理と、事後の記録・連携にも相応の時間を使います。
インサイドセールス担当者の1日(例)
1日の動きを例示すると、次のような流れになります(※あくまで一例です。時間配分は商材やリード数によって大きく変わります)。
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時間帯 |
主な業務 |
|
朝 |
前日に流入したリードの確認と、当日の優先順位づけ。初動が必要なリードへの一次対応 |
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午前 |
優先度の高いリードへのアプローチ(電話・メール)。ヒアリングの実施 |
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午前 |
商談化したリードのフィールドセールスへの引き継ぎ。Web会議ツールを活用した15〜30分程度のオンラインでのヒアリング面談(ショートミーティング) |
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夕方 |
SFA/CRMへの記録、フィールドセールスからのフィードバック確認、翌日のリスト整備 |
この動きを見ると、架電が業務の中心ではないことが分かります。「誰に、どの順番で、何を伝えるか」を判断する時間と、その結果を残す時間が相当の割合を占めます。インサイドセールスが「テレアポの延長」ではないことは、1日の動きを並べたときに最もはっきり伝わります。 アサイン予定のメンバーに仕事像を共有する際は、業務の箇条書きよりもこのタイムラインを見せるほうが早く伝わります。
フィールドセールス経験はインサイドセールスでどう活きるか
フィールドセールスの経験は、インサイドセールスでそのまま武器になります。特に次の3つの力は、そのまま持ち込めます。
- 顧客の課題を聞き出す力:表面的な要望の裏にある本当の課題を引き出す力は、短時間の電話ヒアリングでこそ効きます
- 決裁構造を読む力:誰が決めるのか、どの部署が反対しそうかを見抜く力は、商談として渡せるかどうかの判断に直結します
- 提案の勘所:どの情報を出せば相手の検討が進むかという感覚は、ナーチャリングの中身を決めます
一方で、インサイドセールスでは新たに必要になる力もあります。データを見る習慣と、仮説検証の姿勢です。個々の商談を対面で深く追いかけるのではなく、数十〜数百のリードを俯瞰し、「接触率が落ちているのはどのセグメントか」「商談化しないリードに共通する条件は何か」を数字で捉える動き方が求められます。
いずれにせよ、キャリアの断絶ではありません。訪問で培った力の上に、データを扱う力が加わる形です。この整理は、メンバーへの説明でそのまま使えます。
同じインサイドセールスでも、扱うリードによって仕事は大きく変わります。次にその型を見ていきます。
インサイドセールスの種類(SDRとBDR)と、自社はどちらから始めるべきか
インサイドセールスは、対象とするリードの性質によってSDRとBDRの2つに分かれます。必要なスキルもKPIも難易度も異なるため、立ち上げ時にどちらから始めるかは重要な判断になります。
SDR(Sales Development Representative)は反響型です。資料請求、問い合わせ、展示会での名刺交換、セミナー参加など、自社に対して何らかの関心を示したリードに対応します。相手からの反響が起点になるため、接触のハードルは比較的低くなります。
BDR(Business Development Representative)は新規開拓型です。まだ接点のないターゲット企業に対し、自社から能動的にアプローチします。近年主流となっているABM(アカウントベースドマーケティング)の考え方に基づき、狙う企業を定め、部署や担当者を調べ、「どんな課題を抱えているか」の仮説を持って接点をつくるところから始めるため、1件あたりにかける時間も難易度も上がります。
両者の違いを整理すると次のようになります。
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比較項目 |
SDR(反響型) |
BDR(新規開拓型) |
|
対象リード |
資料請求・問い合わせ・展示会など関心を示した相手 |
まだ接点のないターゲット企業 |
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起点 |
相手からの反響に対応する |
自社から能動的に接点をつくる |
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主なKPI |
初動スピード、商談化率、有効商談数 |
ターゲット企業との接点獲得数、有効商談数 |
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難易度 |
相対的に低い(相手に関心がある状態から始まる) |
高い(関心のない相手に価値を提示する必要がある) |
|
向く立ち上げフェーズ |
立ち上げ初期 |
一定の運用が固まった後 |
既存メンバー数名でスモールスタートするなら、SDRから始めるのが現実的です。 理由は3つあります。
第一に、対応すべきリードがすでに手元にあることです。展示会やWebから毎月リードが入っているなら、まずその処理を仕組み化するほうが、新しいターゲットリストを作るより早く着手できます。
第二に、成果が見えやすいことです。反響への対応は商談化までの期間が比較的短く、立ち上げ数か月で「有効商談が出た」という結果を作りやすくなります。経営層への報告材料が早く手に入るという意味でも重要です。
第三に、メンバーの成功体験を作りやすいことです。異動に納得しきれていないメンバーにとって、最初に取り組む業務で手応えを得られるかどうかは、その後の定着を大きく左右します。関心のない相手への開拓から始めると、断られ続ける期間が長くなり、「やはりテレアポではないか」という感覚を強めてしまいます。
BDRに広げるタイミングは、SDRの運用が安定し、リードの供給量に対して処理能力に余裕が出てきたときです。あるいは、狙いたい大手企業が明確にあり、そこからのリード流入が期待できない場合には、早い段階でBDRを検討する判断もあり得ます。いずれにせよ、少人数で両方を同時に走らせると人員が分散し、どちらも中途半端になりやすい点は押さえておいてください。
▼SDRとBDRの違いとは?インサイドセールスにおけるそれぞれの役割と仕事内容を解説
型が決まったら、次は「何をもって成果とするか」です。ここが立ち上げの成否を分けます。
インサイドセールスのKPI――「テレアポ部隊」にしないための評価指標の置き方
インサイドセールスをテレアポ部隊にしてしまう最大の原因は、アポ獲得数を成果指標に置くことです。追うべきは有効商談数と商談化率であり、架電数は評価ではなく改善のための観測値として使います。
なお、以下で述べる「アポ数を成果指標に置くことがテレアポ部隊化の主因である」という主張は、特定の調査結果ではなく、立ち上げ支援の実務から得た本記事の見解です。ただし、後述する実態調査のデータとも整合する内容です。
追ってはいけないKPI(アポ獲得数・架電数)
アポ獲得数を「成果」として評価すると、質より量が優先され、フィールドセールスとの信頼関係とメンバーの意欲が同時に失われます。
弊害は連鎖的に起こります。
- 「今月アポ30件」という目標が置かれる
- 月末が近づくと、担当者は温度の低いリードにも無理にアポを取りにいく
- フィールドセールスから「行っても意味がない商談ばかり」という不満が出る
- 商談の質でインサイドセールスが責められ、しかし評価指標はアポ数のままなので、担当者は行動を変えられない
- 双方の不信が積み上がり、分業そのものが機能しなくなる
- メンバーは「結局テレアポと同じだ」と感じ、疲弊していく
この連鎖の起点は、担当者の姿勢ではなく指標の設計です。指標を変えない限り、いくら「質を意識してほしい」と伝えても行動は変わりません。
架電数についても同じことが言えます。架電数を評価対象にすると、1件あたりの準備時間が削られ、ヒアリングが浅くなります。行動量そのものが悪いのではなく、行動量を成果と呼んでしまうことが問題です。
追うべきKPI(有効商談数・商談化率・受注貢献)
インサイドセールスのKPIは、有効商談数を軸に組み立てます。それに商談化率、受注貢献額、パイプライン量を組み合わせるのが基本形です。
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KPI |
何を測るか |
なぜ必要か |
|
有効商談数 |
基準を満たしてフィールドセールスに引き渡した商談の数 |
インサイドセールスの成果そのもの。量と質の両方を含む指標になる |
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商談化率 |
対応したリードのうち、有効商談に至った割合 |
見極めの精度と、リードの質の両方を診断できる |
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受注貢献額 |
引き渡した商談から生まれた受注の金額 |
「渡した後にどうなったか」まで含めた最終成果。後工程との共通言語になる |
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パイプライン量 |
引き渡し済みで進行中の商談の総額 |
将来の売上見込み。経営層への報告で最も伝わる指標 |
この4つを組み合わせる理由は、単独では歪みが生じるためです。有効商談数だけを追えば単価の低い案件に流れ、受注貢献額だけを追えば大型案件を待つ姿勢になります。量(有効商談数)・精度(商談化率)・金額(受注貢献額)・将来性(パイプライン量)を並べることで、バランスが取れます。
なお、それぞれの数値目標をいくつに置くべきかは、業種・商材・リード数によって大きく変わります。本記事で具体的な基準値を示すことはしません。自社の現状値を測ることから始めてください。
行動KPIと成果KPIの使い分け
架電数や接触率といった行動KPIは、「評価」ではなく「なぜ成果が出ないかを診断する」ための観測値として使います。この切り分けが、KPI設計の実務的な勘所です。
たとえば有効商談数が目標に届いていないとき、原因は複数あり得ます。そもそもリードに接触できていないのか、接触はできているが検討段階の見極めが甘いのか、あるいはリードの質自体が下がっているのか。これを切り分けるには、架電数・接触率・ヒアリング実施率といった過程の数字が必要です。
観測値として持ちながら評価には使わない。この区別を最初に明文化しておかないと、「測っている以上は目標を置こう」という力学が働き、いつの間にか行動KPIが評価指標に格上げされます。立ち上げ時に、どの指標を評価に使い、どの指標を診断に使うのかを書き分けておいてください。
KPIを測るためにSFA/CRMに何を記録させるか
有効商談数と商談化率は、SFA/CRMに次の3点を入力ルール化すれば、自動的に測れるようになります。
|
記録すべき項目 |
内容 |
これで測れるもの |
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商談化の判定項目 |
課題・予算・決裁者・導入時期のうち、何が確認できたか |
有効商談の判定、商談化率 |
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引き渡し日時 |
インサイドセールスからフィールドセールスに渡した日時 |
初動スピード、引き渡しから商談実施までのリードタイム |
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失注理由 |
商談に至らなかった/受注に至らなかった理由の分類 |
見極めの精度、リードの質の変化 |
実装としては、SFAの商談フェーズに「インサイドセールス引き渡し」という段階を1つ追加し、引き渡し日時と判定条件を必須入力にするのが分かりやすい形です。さらに、フィールドセールス側から「見立て通り有効商談だったか」をSFA上に入力して戻すフィードバックの経路を設けることで、インサイドセールスの見極め精度が飛躍的に上がります。
すでにSFA/CRMを導入していて、活動履歴の備忘録になっている企業の場合、まずやるべきは新しいツールの検討ではなく、この入力ルールの再設計です。入力項目を増やすのではなく、KPIの計測に必要な項目だけに絞り、なぜその項目が必要なのかを現場に説明する。目的が共有されない入力ルールは、必ず形骸化します。
KPIが決まって初めて、ツールが選べます。
インサイドセールスに必要なツール(MA・SFA/CRM・CTI)
ツールは、役割とKPIを決めた後に選ぶものです。順序を逆にすると、活動履歴の備忘録が増えるだけで成果には結びつきません。
インサイドセールスに関連する主なツールは3種類で、それぞれ役割が異なります。
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ツール |
役割 |
インサイドセールスでの使いどころ |
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MA(マーケティングオートメーション) |
見込み顧客のWeb上の行動を捉え、関心度を可視化する |
どのリードから接触するかの優先順位づけ。ナーチャリングのメール配信 |
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SFA/CRM |
顧客情報・活動履歴・商談を記録し、進捗を可視化する |
活動の記録、有効商談数・商談化率の計測、フィールドセールスへの情報引き継ぎ |
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CTI |
電話とシステムを連携し、架電と履歴入力を効率化する |
架電量が多い場合の工数削減、通話履歴の自動記録 |
導入の順序として押さえておきたいのは、この3つのどれも「何を成果とするか」が決まっていなければ設定できないということです。MAでスコアリングを組むには、どういう状態のリードを優先するかの定義が要ります。SFAで商談フェーズを設計するには、どこからが有効商談かの定義が要ります。定義がないままツールを導入すると、初期設定はベンダーの標準テンプレートのままになり、現場は「入力させられている」状態になります。
実際、インサイドセールスの現場でも記録の質は課題として挙がっています。PRIZMAが2025年8月に実施した「インサイドセールス実態調査」(インサイドセールスを管掌する決裁者・管理職1,000人が対象)では、インサイドセールス部門の課題として「SFA/CRMの記録が曖昧」が23.4%挙げられています。ツールを入れているかどうかではなく、何のために何を記録するかが決まっているかどうかが分かれ目になります。
すでにSFA/CRMがある企業がまずやるべきことは、前述のとおり入力ルールの再設計です。新しいツールを検討するのは、その後で構いません。
一方で、ツールがなければ始められないわけでもありません。リード数が月に数十件程度であれば、表計算ソフトでリスト管理と接触履歴の記録を始めることは可能です。むしろ、手作業で回してみることで「何を記録すべきか」が具体的に見えてくる面もあります。件数が増えて手作業が限界に達したときが、ツール投資を検討するタイミングです。
なお、本記事では個別の製品比較や価格には踏み込みません。自社に必要な機能は、役割とKPIが決まってから逆算するほうが、比較の軸が明確になります。
ここまでが「インサイドセールスとは何か」です。ここからは「自社はどうするか」に話を移します。
自社にインサイドセールスは必要か/立ち上げで最初に決める3つ
立ち上げで最初に決めるべきは、トークスクリプトでもツールでもありません。①役割スコープ、②リード引き渡し基準、③KPIの3つです。
自社にインサイドセールスが必要かを判断する4つの観点
その前に、自社にインサイドセールスを置く意味があるかを確認しておきます。判断の観点は4つです。
- リードは獲れているが、フォローが追いついていない:展示会やWebから継続的にリードが入っているのに、接触できていない件数が積み上がっている状態。最も分かりやすい導入理由です
- 商材の検討期間が長い:検討に数か月かかる商材では、すぐに商談化しない相手を継続的に温める工程が必要になります。逆に即決型の商材では、この工程の価値は小さくなります
- 営業人数に対して、追うべきリードが多い:1人あたりが抱えるリード数が処理能力を超えている状態。前工程で絞り込む機能が効きます
- 非対面でも検討が進む商材か:オンラインの説明と資料で検討が進められる商材であれば、非対面での関係構築が成立します
これらが当てはまらない場合、たとえばそもそもリードの流入が月数件しかないのであれば、先に着手すべきはマーケティングの強化です。あるいは、リードは十分あってフィールドセールスも余力があるなら、既存の営業プロセスの運用改善のほうが早く効きます。インサイドセールスありきで考える必要はありません。
自社に必要かどうかの判断をより詳しく検討したい場合は、「BtoB企業におけるインサイドセールスの存在の意味」はこちら。
①役割スコープを決める
役割スコープとは、どのリードを受け取り、どの状態になったら手を離すのかの線引きです。組織図ではなく、文章で書き切ることから始めます。
決めるべきことは3つあります。
- 受け取る範囲:マーケティングが獲得したどのリードを対象にするか。展示会リードは含むか、既存顧客からの追加問い合わせは含むか、休眠リードの掘り起こしは範囲内か
- 手を離す地点:どの状態になったらフィールドセールスに渡すか(具体的な基準は次項で決めます)。渡した後のフォローはどちらが行うか
- グレーゾーンの扱い:判断に迷うケースをあらかじめ想定しておきます。たとえば、既存顧客から新規部署の問い合わせが来た場合はインサイドセールスが受けるのか、担当のフィールドセールスが直接受けるのか。この手のケースは必ず発生し、その場で決めていると担当者ごとに運用がばらつきます
「連携が大事」という言葉で済ませてしまうと、必ず後で揉めます。曖昧なまま残した部分が、そのまま対立の火種になります。
②リード引き渡し基準を決める
リード引き渡し基準とは、どの状態になったらフィールドセールスに商談として渡すかの定義です。3つの要素で組み立てます。
- 検討度合い: 何が確認できていれば渡すのか。たとえば「課題・予算・決裁者・導入時期(BANT条件)」を設定しますが、インサイドセールス段階では「自社で解決できる課題(Need)の有無」を最優先とします。予算や決裁フローは商談化後のフィールドセールスとともに具体化していく柔軟性を持つことが、機会損失を防ぐ鍵です。
- 情報の揃い方:渡すときに何を添えるか。ヒアリング内容、過去の接触履歴、相手の関心事項など、フィールドセールスが最初からヒアリングし直さずに済む情報の範囲を決めます
- 初動期限:リードが流入してから何時間以内に最初の接触を試みるか。たとえば「24時間以内」といった形です
初動期限をルール化する意味については、参考になるデータがあります。ラクスが2025年8月に実施した「商談化率の高いBtoB企業が実践するインサイドセールス施策」に関する調査(2025年8月21〜25日調査、平均商談化率50%以上のBtoB企業の担当者118名が対象)によれば、リード発生から初回接触までの所要時間は「即日(当日中)」が25.4%、「1〜2日以内」が25.4%で、約半数が2日以内に最初の接触を済ませています。あわせて、リードの優先順位づけを行っている企業が66.1%にのぼることも報告されています。

(出典:株式会社ラクス「商談化率の高いBtoB企業が実践するインサイドセールス施策」に関する調査)
ただし、これは商談化率が高い企業に絞って聞いた調査であり、「2日以内に接触すれば商談化率が上がる」という因果を示すものではありません。読み取れるのは、成果を出している組織は初動と優先順位づけをルールとして持っている、という傾向までです。自社にとって適切な初動期限は、商材の性質と体制を踏まえて自分たちで決めてください。「24時間以内」も一例にすぎません。
そして、この基準はインサイドセールス側だけで決めても機能しません。フィールドセールスと合意して初めて基準になります。合意がないまま運用を始めると、「渡された商談の質が低い」「フォローしてくれない」という応酬が必ず起こります。あわせて、基準を満たしていない商談を差し戻すルールに加え、「フィールドセールスは商談実施後2営業日以内に結果(有効商談判定・失注理由など)をSFAに入力する」という相互の期限(SLA)を決めておくと、基準が形骸化せず連携がスムーズになります。
部門間で交わす基準を文書として整える手順は、「SLA(サービスレベルアグリーメント)とは?」はこちら。
③KPIを決める
KPIは、前述の有効商談数を軸にした指標を、フィールドセールス・マーケティングと合意して確定させます。ここでの焦点は指標の選定そのものよりも、合意の取り方です。
最も重要なのは、「有効商談」の定義を3者で揃えることです。インサイドセールスが「渡した数」で数え、フィールドセールスが「実際に提案に進んだ数」で数えていれば、同じ月の数字が食い違います。数字が食い違えば、議論は成果の話ではなく数え方の話になります。
もう一つは、マーケティングのリード目標との整合です。マーケティングがリード獲得件数だけで評価されていると、質を問わない件数稼ぎが起こり、インサイドセールスの商談化率が下がります。マーケティングの指標にも、有効商談につながったリードの割合を含めておくと、部門をまたいだ整合が取れます。
後回しにしてよいこと(スクリプト・ツール選定・研修設計)
トークスクリプト、ツール選定、研修カリキュラムは、3つを決めた後で十分に間に合います。不要なのではなく、順序が後だということです。
理由は単純で、役割スコープと引き渡し基準が変われば、スクリプトも研修内容も作り直しになるためです。「何を聞き出せば商談として渡せるのか」が決まっていない状態でトークスクリプトを作っても、それは単なる会話例にすぎません。ツールも同様で、KPIが決まっていなければ何を設定すればよいか決まりません。
期限に追われていると、目に見える成果物(スクリプト、ツール、研修資料)から手をつけたくなります。ただ、その順序で進めた場合、後から3つの線引きを変えるたびに手戻りが発生します。先に線を引くほうが、結果的に早く着地します。
成果が出るまでの時間軸
インサイドセールスは、立ち上げた翌月から受注に貢献するものではありません。おおよそ次の3段階を踏みます。
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段階 |
状態 |
この段階で見る指標 |
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第1段階:稼働開始 |
役割・基準・KPIが決まり、リードへの接触が始まった状態 |
リード初動スピード、接触率 |
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第2段階:リード対応の定着 |
流入したリードに漏れなく対応でき、記録も残る状態 |
接触率、ヒアリング実施率、有効商談数 |
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第3段階:商談創出の安定化 |
有効商談が一定量で安定的に生まれる状態 |
有効商談数、商談化率、受注貢献額 |
各段階に要する期間は、商材の検討期間・リード数・体制によって大きく変わるため、本記事で月数を示すことはしません。ただし構造として、受注貢献が数字に現れるのは、有効商談が出始めてから自社の平均商談期間だけ遅れたタイミングになるという点は押さえておいてください。検討期間が3か月の商材なら、有効商談が出てから受注として計上されるまでにさらに3か月かかります。
この時間軸を経営層と先に共有しておくことが、立ち上げを守ります。報告の設計については、後述の「社内をどう巻き込むか」で扱います。

3つを決めても、実行段階でつまずくパターンがあります。次に、その典型と回避策を整理します。
インサイドセールス立ち上げでよくある失敗と回避策
立ち上げの失敗は、担当者の能力ではなく設計の不足から起きます。原因が分かっていれば、そのほとんどは着手前に防げます。
このことは、実際の現場の課題からも読み取れます。前述のPRIZMA「インサイドセールス実態調査」(2025年8月調査、インサイドセールスを管掌する決裁者・管理職1,000人)で挙がった課題の上位は、次のとおりです。
- 成果を出せるインサイドセールス人材の育成が難しい:33.6%
- 一度接触したリードへの継続フォローが不足している:27.9%
- 架電人員が不足している:27.4%
- SFA/CRMの記録が曖昧:23.4%
- スキル・判断の属人化:20.2%
並べてみると分かるのは、上位に来ているのが「トークが上手くいかない」といった個人のスキルの問題ではなく、育成の仕組み、フォローの運用、記録のルール、判断基準の標準化という、設計に属する課題だという点です。
代表的な失敗パターンと回避策を整理します。
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失敗パターン |
原因 |
回避策 |
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①「インサイドセールス」という名のテレアポ部隊になる |
KPIをアポ獲得数に置いた |
有効商談数で評価する。「有効商談」の定義をフィールドセールスと合意する |
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②リードが放置される |
初動の期限とリスト運用が決まっていない |
流入から初回接触までの時間をルール化し、未接触リードの件数を可視化する |
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③インサイドセールスとフィールドセールスが対立する |
引き渡し基準がなく「アポの質が悪い」「フォローが遅い」の応酬になる |
引き渡し基準を合意し、商談後のフィードバックが前工程に返る経路を作る |
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④現場が動かない |
アサインされたメンバーが異動に納得していない |
役割の意味とキャリアの連続性を具体的に説明する(次章で詳述) |
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⑤短期成果を求められて頓挫する |
経営層と成果までの時間軸を共有していない |
3段階の時間軸を先に合意し、中間指標で進捗を報告する |
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⑥ツールを入れたが定着しない |
何のために入力するのかが共有されていない |
KPIと入力項目を紐づけ、計測に必要な項目だけに絞る |
このうち②については、補足しておきたい点があります。リードの放置は、担当者が怠けているから起きるのではありません。未接触のリードが何件あるかを誰も見ていないから起きます。 数字として可視化された瞬間に、優先順位の判断が変わります。前述のとおり、商談化率の高い企業ほど初動と優先順位づけをルール化している傾向があることを踏まえれば、放置件数と初動時間は立ち上げ初期から追うべき指標です。
③の対立も、構造的に起きるものです。基準がなければ、両者はそれぞれの立場から見た「質」を主張し合うことになります。しかも、この対立は当事者同士では解けません。基準を決める権限を持つ立場の人が、先に線を引く必要があります。
いずれの失敗も、共通しているのは「決めていないから起きる」という点です。裏を返せば、着手前に決めておけば大半は避けられます。 立ち上げ後に軌道修正するより、設計段階で潰しておくほうが、時間も社内の信用も消耗しません。
回避策の多くは仕組みで解けますが、ひとつだけ人の問題が残ります。
社内をどう巻き込むか――「インサイドセールスは格下」という誤解と、役員・現場への説明
立ち上げで最後に残る壁は、仕組みではなく人です。アサインするメンバー、経営層、関係部門はそれぞれ違う不安を持っているため、同じ説明では動きません。
前述のPRIZMA調査で最も多く挙がった課題が「成果を出せるインサイドセールス人材の育成が難しい」であったことも、この壁の存在を示しています。役割と基準を設計しても、それを担う人が納得して動かなければ、仕組みは回りません。
相手ごとに関心事と伝えるべきことを整理すると、次のようになります。
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相手 |
抱えている懸念 |
伝えるべきこと |
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アサインするメンバー |
「なぜ自分が内勤に回されるのか」「これは格下げではないか」 |
インサイドセールスが商談を創る戦略機能であること。フィールドセールス経験がそのまま武器になること。今後のキャリアの道筋 |
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経営層 |
「いつ・いくら売上に効くのか」「投資に見合うのか」 |
成果までの3段階と、各段階で報告する中間指標。現状のリード放置量と改善余地 |
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マーケティング・フィールドセールス |
「余計な工程が増えるのではないか」「自分の評価にどう影響するのか」 |
受注までの一本のパイプラインを一緒に設計したいという立ち位置。引き渡し基準とフィードバックの合意 |
アサインするメンバーにどう伝えるか(「格下」の誤解を解く)
インサイドセールスは営業の下積みではなく、商談を創る戦略機能です。ただし、この位置づけは説明しなければ伝わりません。
「インサイドセールス=内勤=電話=下積み」という受け取られ方は、自然に起きます。訪問して受注を決めることを営業の本流と捉えてきた組織では、内勤への異動が降格のシグナルに見えるからです。この反応を「意識が低い」と片づけると、対話の余地がなくなります。まず、そう受け取られるのが自然だと認めるところから始めます。
そのうえで伝えるべきことは3つあります。
第一に、インサイドセールスが担うのは営業プロセスの設計に関わる工程だということです。どのリードに時間を使うかを判断し、商談として渡す基準を運用する仕事は、単純作業ではありません。判断の質がそのままフィールドセールスの成果を左右します。
第二に、フィールドセールス経験がそのまま武器になることです。顧客の課題を聞き出す力、決裁構造を読む力、提案の勘所は、短時間の電話ヒアリングでこそ差が出ます。経験の浅いメンバーには真似できない領域であり、ベテランをアサインする理由もそこにあります。
第三に、キャリアパスを示すことです。インサイドセールスで身につくデータに基づく判断力とプロセス設計力は、営業マネジメントに直結します。この職務を経てどのポジションに進む道があるのかを具体的に示せると、「行き止まりの異動」という受け取られ方は変わります。
キックオフでは、これらを抽象的な激励ではなく具体的な言葉で伝えてください。「インサイドセールスは商談を創る仕事であり、あなたのフィールドセールス経験がそのまま武器になる」という一文を、自分の言葉で説明できる状態にしておくことが出発点です。
経営層にどう説明するか(成果の時間軸と稟議の論拠)
経営層への説明で最も重要なのは、初月から受注貢献を約束しないことです。代わりに、3段階の時間軸と各段階で報告する中間指標を先に合意しておきます。
「いつ売上に貢献するのか」と問われたとき、具体的な月を答えたくなりますが、根拠のない約束は後で自分を苦しめます。伝えるべきは構造です。第1段階では初動スピードと接触率、第2段階では有効商談数、第3段階で受注貢献額。そして受注として計上されるのは、有効商談が出始めてから自社の平均商談期間だけ後になる。この順序を先に共有しておけば、「3か月経ったのにまだ受注がない」という問い方自体が起こりにくくなります。
稟議の論拠としては、次の4点を1枚にまとめると議論が具体的になります。
- 現状のリード放置量:直近数か月で獲得したリード数と、そのうち接触できていない件数。数えるだけで説得材料になります
- 商談化率の改善余地:現在フォローできている範囲での商談化率をもとに、放置分に同じ率を当てはめたときの機会損失
- フィールドセールスの生産性向上:非コア業務(手探りのアプローチや未見込みの追客)を外すことで、フィールドセールスが既存提案・クロージングに専念できる時間の創出効果
- 必要な投資と回収の時間軸:人員の再配置による機会費用、ツールや外部支援を使う場合の費用、そして成果が現れるまでの段階
なお、機会損失の試算はあくまで説明用の仮定であり、実際にその通りになると約束するものではありません。稟議では「この前提で計算するとこうなる」と条件を明示して示すほうが、後の信頼を損ないません。
マーケティング・フィールドセールスとどう合意するか
関係部門への依頼は、「インサイドセールスに協力してほしい」ではなく、「受注までの一本のパイプラインを一緒に設計したい」と伝えるほうが合意に至りやすくなります。
両部門にも、それぞれの関心があります。マーケティングは、獲得したリードが放置されずに商談につながることに関心があります。獲得件数だけで評価されている状態は、実はマーケティング側にとっても不本意なことが多いものです。フィールドセールスは、無駄な商談に時間を取られないことに関心があります。どちらも、インサイドセールスが機能すれば得をする立場です。
合意すべき事項は2つです。ひとつは前述の引き渡し基準。もうひとつは、フィードバックが前工程に返る経路です。フィールドセールスが受け取った商談がその後どうなったかを、インサイドセールスとマーケティングに戻す。この逆流路がないと、前工程は自分たちの判断が正しかったかを永久に知ることができません。
運用としては、3部門合同の定例を短時間でも設けるのが確実です。数字の共有ではなく、「渡した商談がどうだったか」を具体的に振り返る場として設計してください。
ここまでを一人で設計しきれるか、という問いが残ります。
自社だけで立ち上げるか、外部の力を借りるか
すべてを内製するのも、すべてを外注するのも失敗しやすい選択です。自社に残すものと外部に頼るものを分けるのが現実的な進め方になります。
全内製が難しいのは、経験のない設計をゼロから作る時間が、既存チームのマネジメントと兼務している立場にはほとんど残らないためです。試行錯誤しながら正解に近づく余裕があればよいのですが、数か月で稼働という期限があると、手戻りのコストが重くのしかかります。
一方、全外注が危ういのは、判断基準が社外に蓄積されるためです。商談は増えても、なぜその商談が有効と判断されたのか、どういう対応が効いたのかというノウハウが自社に残りません。契約が終わった瞬間に元に戻る、という結末はここから生まれます。
判断の目安として、プロセスごとに整理すると次のようになります。
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プロセス |
自社に残すべきか |
外部と組む価値 |
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何を成果とするかの定義 |
必ず自社 |
― |
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KPIの決定 |
意思決定は自社 |
設計の型の提供、他社の事例を踏まえた壁打ち |
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役割スコープ・引き渡し基準の設計 |
意思決定は自社 |
型の提供、抜け漏れの指摘 |
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SFA/MAの設定と入力ルール |
運用は自社 |
初期設計と定着支援 |
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メンバーの研修・育成 |
継続は自社 |
立ち上げ期の型づくりと研修 |
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架電・メール等の実行 |
中長期では自社 |
立ち上げ期のリソース補完 |
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メンバーのマネジメント・評価 |
必ず自社 |
― |
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顧客の一次情報 |
必ず自社 |
― |
外部を検討する場合は、丸投げ型か伴走型かを見極めてください。丸投げ型は成果物としての商談は得られますが、進め方の判断基準が自社に残りません。伴走型は自社メンバーと一緒に設計・実行し、最終的に内製へ移行することを前提とします。中長期で自走したいのであれば、後者を選ぶことになります。
なお、実行リソースそのものを外部に委ねるインサイドセールス代行という選択肢もあります。立ち上げ期の人員が確保できない場合には有効な手段ですが、選び方を誤ると前述の「ノウハウが残らない」状態になります。見極めの観点は「インサイドセールス代行会社の選び方」はこちら。
そのうえで、自社だけで判断しにくいのは次のような論点です。
- 商材ごとの引き渡し基準の線引き:自社の商材でどの情報が揃えば有効商談と呼べるのか。他社の基準はそのまま使えません
- 少人数でのSDR・BDRの優先順位:限られた人数でどちらに寄せるか。リードの供給状況と狙う市場の両方を見る必要があります
- 既存メンバーの適性配置:誰をインサイドセールスに置くか。本人の志向と、必要なスキルの両面から判断する必要があります
これらはいずれも、一般論では答えが出ず、自社の条件を並べて初めて判断できる論点です。社内に前例がない場合、外部の視点を入れて選択肢を整理するほうが早く着地します。
よくある質問(FAQ)
Q. インサイドセールスとテレアポの違いは何ですか。
目的と評価指標が異なります。テレアポはアポイントの獲得が目的で架電数・アポ数で評価されますが、インサイドセールスは受注可能性のある商談(有効商談)の創出が目的で、有効商談数・商談化率で評価されます。同じ電話を使っていても別の仕事です。詳しくは本記事「インサイドセールスとテレアポ・フィールドセールスは何が違うのか」をご覧ください。
Q. インサイドセールスとカスタマーサクセスは何が違いますか。
担当する時期が異なります。インサイドセールスは受注前の見込み顧客を対象に商談を創り出す機能で、カスタマーサクセスは受注後の既存顧客を対象に定着と活用支援を担う機能です。どちらも非対面での接触が中心になるため混同されやすいものの、成果指標も別で、インサイドセールスは有効商談数、カスタマーサクセスは継続率や解約率で測るのが一般的です。
Q. インサイドセールスに向いているのはどんな人ですか。
顧客の課題を聞き出す力と、記録を残して数字で振り返る習慣を持つ人です。フィールドセールスの経験者は、ヒアリング力と決裁構造を読む力をそのまま活かせます。話すのが上手いかどうかよりも、事前に仮説を立て、相手の状況を正確に把握して整理できるかどうかが効きます。
Q. 何人から始められますか。
人数よりも、役割スコープ・引き渡し基準・KPIが決まっているかどうかが先です。設計が固まっていれば、少人数でも運用を始められます。ただし、扱えるリード数は人数に比例するため、対象を絞ってスモールスタートする前提になります。
Q. 成果が出るまでどのくらいかかりますか。
商材の検討期間・リード数・体制によって変わるため、一律の目安はありません。ただし構造としては、稼働開始→リード対応の定着→商談創出の安定化という3段階を踏み、受注として現れるのは有効商談が出始めてから自社の平均商談期間だけ後になります。本記事「成果が出るまでの時間軸」をご覧ください。
Q. インサイドセールスのKPIは何を置けばよいですか。
有効商談数を軸に、商談化率・受注貢献額・パイプライン量を組み合わせます。架電数やアポ獲得数は評価指標ではなく、成果が出ない原因を診断するための観測値として使ってください。詳しくは本記事「インサイドセールスのKPI」をご覧ください。
Q. MAツールがなくても始められますか。
始められます。リード数が月に数十件程度であれば、表計算ソフトでのリスト管理と接触履歴の記録から着手できます。むしろ手作業で回すことで、何を記録すべきかが具体的に見えてきます。件数が増えて手作業が限界に達したときが、ツール投資を検討するタイミングです。
まとめ――インサイドセールスとは「仕組みを設計する仕事」
インサイドセールスとは、非対面の営業手法の名前ではなく、リードを商談に変える仕組みを設計する仕事です。この捉え方に立てるかどうかが、立ち上げの成否を分けます。
本記事の要点を振り返ります。インサイドセールスの担当範囲は、リード獲得後から商談化までであり、ゴールはアポイントの数ではなく有効商談の創出です。テレアポとの違いを決めているのは、やり方ではなく評価指標であり、アポ獲得数を成果に置いた時点で組織はテレアポ部隊に近づきます。立ち上げで最初に決めるべきは、役割スコープ・リード引き渡し基準・KPIの3つで、トークスクリプトやツール選定は後回しで構いません。よくある失敗は能力ではなく設計の不足から起き、着手前に決めておけば大半は避けられます。そして最後に残る壁は、メンバー・経営層・関係部門という人の巻き込みです。
次の一歩は、大がかりな準備ではありません。自社の営業プロセスを1枚の紙に書き出し、どこからどこまでをインサイドセールスが担うのかに線を引いてみてください。線が引けない箇所、書けない項目が、そのまま自社の設計課題です。
ただし、どこで線を引き、どの指標で評価するのが適切かは、商材・リード数・人員構成によって変わります。社内に前例がない状態で、他部門との利害調整を含めたこの判断を一人で背負うのは、経験のある管理職でも負荷の大きい仕事です。第三者の専門的な視点を交えることで、社内調整がスムーズに進むケースも多々あります。
ビズブーストは、BtoBマーケティングのコンサルティングから、リード獲得(Webサイト・コンテンツ・広告・展示会・ウェビナー)、リード醸成(インサイドセールス・メールマーケティング)、Salesforceをはじめとするツールの活用・定着支援までをワンストップで手がけています。既存メンバーによるスモールスタートの立ち上げにも対応しており、「自社の場合、どこまでをインサイドセールスに任せるべきか」を整理する壁打ちから始められます。
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「自社にインサイドセールスは必要か」「どこまでをインサイドセールスが担い、どの状態でフィールドセールスに渡すか」「KPIをどう置けばテレアポ部隊にならずに済むか」――本記事で挙げた3つの線引きについて、30分の無料オンライン相談でご相談いただけます。BtoB・IT業界での立ち上げ支援の経験をもとに、貴社の商材・リード数・人員に合わせた設計の方向性を一緒に整理します。役員への説明材料づくりや、既存メンバーへの伝え方についてもご相談いただけます。問い合わせフォームからご連絡をください。

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