最近、ビジネスニュースでよく耳にするようになった「Agentforce(エージェントフォース)」。 一言でいうと、「あなたの代わりに仕事を完結させてくれる、AIの部下」のことです。
「生成AIと何が違うの?」「ただの自動化でしょ?」と思っている方にこそ知ってほしい、これまでの常識を覆す仕組みを分かりやすくお伝えします。
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1. Agentforceとは?「自律型AI」の正体
Agentforceとは、Salesforceが提供する「自律型AIエージェント」を構築・運用するためのプラットフォームです。
最大の特徴は、人がプロンプト(指示)を入力して答えを待つ「受動的なAI」ではなく、目標を与えれば自ら考え、行動し、仕事を完結させる「能動的なAI」である点にあります。
圧倒的な違いは「人間がルートを決めなくていい」こと
今までの自動化とAgentforceの違いを、旅行の計画に例えるとこうなります。
- 従来の自動化(フロー)
「A地点からB地点へ行き、もし雨が降ったらC地点へ行く」というルートを、人間が事前にすべて決めておく必要がありました。想定外のことが起きると止まってしまいます。
- Agentforce
「予算5万円で、最高の温泉旅行を予約しておいて」とゴールだけ伝えます。AIが今の天気、宿の空き状況、あなたの好みをその場で判断し、最適なプランを選んで予約まで完了させます。
「副操縦士」から「自律型エージェント」へ
これまで、Salesforceの初期AI(Einstein Copilot)に触れてきた方は、「また新しいAIツールが出ただけでは?」と思うかもしれません。しかし、Agentforceと従来のCopilot(副操縦士)型AIには、「決定的な違い」があります。
- Copilot(従来のAI):
・人が「メールの下書きを書いて」「会議の要約をして」と指示を出して初めて動きます。常に人
がハンドルを握り、AIは隣でサポートする「副操縦士」です。
・「メール作成」「翻訳」など、単発のタスク(点の作業)を得意とします。
- Agentforce(自律型):
・人が「目標(例:今月の解約率を5%下げる)」を与えると、AIが自らプランを立て、必要なデータ
を探し、実行、完結させます。人がいなくても仕事を進める「デジタル従業員」のイメージです。
・「問い合わせメールを受信する」→「顧客の契約状況を確認する」→「最適な提案を判断する」→
「返信する」という一連の業務プロセスを、 Atlas推論エンジンを使って繋ぎ合わせ、処理します。
分かりやすい比較例:カスタマーサポートの場合
- Copilotなら:
担当者がAIに「この顧客への返信案を作って」と頼む必要がある。(主役は人)
- Agentforceなら:
AIが問い合わせを検知し、裏側で解決策を調べ、人間が確認ボタンを押すだけ(あるいは全自動)で返信まで完了する。(主役はAI)
2. Agentforceを支える4つの柱
Agentforceがなぜこれほど「賢く」動けるのか。それは、以下の4つの要素が組み合わさっているからです。
- 1.Atlas推論エンジン
状況を分析し、目標達成のために「次に何をすべきか」を論理的に組み立てるAIの「脳」にあたる部分です。
・評価: ユーザーの要求(クエリ)を分析し、意図を正確に把握する。
・計画: 目標達成のために必要なステップ(ワークフロー)を自ら組み立てる。
・リファイン: 実行前に「この計画で正しいか」を自ら検証し、精度を高める。
・信頼できるデータ参照:
Salesforce内の顧客データ、行動履歴、さらには外部ストレージ(Google DriveやS3など)のデータを
リアルタイムで参照します。
・グラウンディング:
常に最新の「事実」に基づいて回答や行動を生成するため、古い情報に基づいたミスを防ぎます。
- 3.エージェント・ビルダー(Agent Builder)
プログラミングの知識がなくても、直感的にAIエージェントをカスタマイズ・構築できるツールです。
・既存スキルの転用:
すでにSalesforceで作成している「Flow(フロー)」や「Apexクラス」、「プロンプトテンプレート」
を、そのままエージェントの「武器(スキル)」として登録できます。
・ローコード開発:
ドラッグ&ドロップに近い感覚で、「どのデータを使って良いか」「どのアクションを実行して良いか」
を制御できます。
- 4.ガードレール(Einstein Trust Layer)
企業利用において不可欠な「安全装置」です。
・機密保持:
顧客の個人情報(PII)をAIモデルに学習させないよう、自動でマスキング処理を行います。
・コンプライアンス:
不適切な発言や、権限外のデータアクセスをブロックするフィルタリング機能が標準装備されていま
す。
3. 私たちの働き方はどう変わる?
現代のビジネス現場では、情報の洪水により「判断」と「作業」のコストが膨れ上がっています。Agentforceを導入することで、以下のような対応が可能になります。
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24時間365日の顧客対応
カスタマーサポートにおいて、AIが自律的に問題を解決。
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営業活動の自動最適化
リードのスコアリングから商談のセッティングまでを代行。
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人間は「より人間らしい仕事」へ
ルーチンワークをAIに任せ、人間は戦略立案や共感が必要な対人交渉に集中。
まとめ:AIは「使う」から「任せる」時代へ
Agentforceは、単なる効率化ツールではありません。組織に、自ら考えて動く「デジタル従業員」を増やすようなものです。
AI活用はこれから「必須」になっていくと思います。ぜひSalesforceのAIエージェントをうまく活かしていただけると幸いです。