「インサイドセールスを内製化したものの、思うように成果が出ない」
「結局、うちのチームは人が足りないから仕方ないのか…」
現在、インサイドセールス組織のマネジメントをされているマーケティング部長の方であれば、こうした悩みを抱えているのではないでしょうか。
特に、IT・SaaS・クラウドサービス業界の中堅企業では、インサイドセールスの内製初期に「人材不足」という壁にぶつかるケースが非常に多いのが実情です。
しかし、本当にインサイドセールスが回らない原因は、単なる「人手不足」なのでしょうか?
本記事では、多くの企業が陥りがちなインサイドセールス組織の課題を掘り下げ、部長職であるあなたが今、下すべき3つの重要な判断について、具体的な事例とともにお伝えします。
多くのマーケティング部長がインサイドセールス組織の現状を分析する際、陥りがちな3つの誤解があります。あなたのチームに当てはまらないか、ぜひチェックしてみてください。
「まずはCRMやMAツールを導入しよう」
これは間違った判断ではありません。しかし、そのツールを「誰が、どのように、何のために使うか」が設計されていなければ、ツールは宝の持ち腐れになります。
例えば、ある中堅SaaS企業のインサイドセールスチームは、高価なSFAツールを導入しました。しかし、入力ルールが曖昧だったため、活動履歴の記載がメンバーによってバラバラに。結果、データは属人化し、顧客のフォロー状況や進捗が見えないまま、ツールは単なる「日報入力システム」と化してしまいました。ツールはあくまで手段であり、それを活かすための「運用設計」がなければ、かえって業務を煩雑にするだけなのです。
インサイドセールスチームには、ずば抜けた成果を出すエースプレイヤーがいるかもしれません。しかし、「とにかくあの人のやり方を真似て」というOJT任せの育成には大きな落とし穴があります。
エースプレイヤーの成功は、その人の属人的なスキルや経験、あるいは運に左右されている可能性があります。トークの間の取り方、相手の心を掴む質問の仕方など、言語化が難しい部分も多いでしょう。この方法では、チーム全体の底上げには繋がらず、エースが抜けた瞬間に組織全体が立ち行かなくなるリスクを抱えます。実際、離職率が高いインサイドセールスチームの共通点として、「特定の個人への依存度が高い」という点が挙げられます。
「人手が足りないなら、とにかく若手を採用しよう」と考えるのは自然なことかもしれません。しかし、育成基盤がない状態でメンバーを増やしても、期待した成果は出ません。
育成の仕組みがなければ、新メンバーは独学で試行錯誤するしかなく、モチベーションの低下や早期離職につながります。インサイドセールス経験者の平均在籍期間は1.5年〜2年程度というデータもあり、せっかく採用しても戦力化する前に辞めてしまうケースは珍しくありません。新しいリソースを投じる前に、既存のメンバーをどう活かし、どう育てるかの「仕組み」を考えることが先決です。
このような事態を避けるために、インサイドセールス代行会社を選ぶ際には、成果につながる5つの視点を持って見極めることが大切です。
中堅ソフトウェアA社では、インサイドセールスチームを立ち上げたものの、KPIを「月間1000件の架電」「月間30件の有効商談獲得」という量的な目標にしか設定しませんでした。
メンバーは「とにかく数をこなせ」と指導され、機械的に架電を繰り返すことに。しかし、肝心の商談化率は平均2%と低迷しました。なぜなら、架電後の「相手の課題を深掘りする質問」「興味を引くメールフォロー」といったプロセスが全く評価されていなかったからです。疲弊したメンバーの離職が続き、結局チームは立ち行かなくなりました。
一方で、中堅SaaS企業B社のインサイドセールスチームは、立ち上げから半年後、なかなか成果が出ないことに直面しました。そこでマーケティング部長は、「商談獲得」という最終的な結果だけでなく、プロセスを分解したKPIを導入する判断をしました。
【プロセスKPIの具体例】
これにより、「架電数は多いが、アプローチが下手」「ヒアリングはできるが、商談化に繋げられない」といったメンバー個々の課題が数値で明確になりました。部長は、アプローチが苦手なメンバーにはロープレ研修を、商談化が苦手なメンバーには成功事例の共有会を実施。結果、チーム全体の商談化率は半年で1.5倍に向上し、組織としての成長基盤を築くことに成功しました。
インサイドセールスを「頑張るだけの組織」から「成果を出す仕組み」に変えるためには、部長であるあなたの意思決定が不可欠です。人的リソースが限られている今だからこそ、以下の3つの判断をしてください。
まず、インサイドセールスを「アポを取るだけの役割」から「案件を創出するプロセス」として捉え直し、KPIと育成を再定義する判断をしてください。
【具体的なアクション】
次に、属人的な活動を「チームの資産」に変える判断をしてください。
【具体的なアクション】
最後に、自社のリソースだけで抱え込まず、外部の力や他部門との連携に投資する判断をしてください。
【具体的なアクション】
インサイドセールスチームの課題は、現場メンバーの頑張りだけでは解決しません。なぜなら、「KPI設計」「組織設計」「他部署との連携」という3つの根本的な課題は、現場メンバーには変えられないからです。
部長がこの判断を誤ると、半年後には組織はこうなります。
逆に、部長が今、この3つの判断を下せば、インサイドセールスは単なる「アポ獲得部隊」ではなく、営業戦略の心臓部として機能し始めます。限られたリソースでも成果を出し、将来のハイブリッド営業(オンライン×オフライン)時代に耐えうる強い組織になるのです。
今後のインサイドセールス組織では、AIの活用も鍵となります。例えば、AIが過去の行動履歴から有望な見込み客を自動でスコアリングしたり、架電内容を分析してトークの改善点を提示したりする時代が来ています。
しかし、こうしたテクノロジーを最大限に活用するためにも、まずは「活動の数値化(KPI設計)」と「属人的なナレッジの共有(仕組み化)」といった土台作りが不可欠です。土台がなければ、AIに何をやらせればいいのかも分かりません。
「インサイドセールスが回らない原因は人材不足」という考えは、多くの課題を隠してしまいます。
インサイドセールスチームを成功させるために今求められているのは、現場プレイヤーの責任を追及することではありません。
部長職であるあなたが、構造的な問題を見抜き、解決するための「仕組み」を設計する判断を下すことです。
あなたの判断ひとつで、インサイドセールスは“頑張るチーム”から“成果を出す組織”に変わります。本記事でご紹介した3つの判断を、ぜひ今日から実行に移してみてください。
もし「自社だけでインサイドセールスの仕組み化や育成体制を構築するのが難しい」「リソース不足で、まずはプロに任せたい」とお考えであれば、専門家の力を借りるのも一つの有効な手段です。
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