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インサイドセールスが回らない本当の理由とは?
部長が越えるべき“人材不足”の壁Column

2025.09.26

インサイドセールスが回らない本当の理由とは? 部長が越えるべき“人材不足”の壁

「インサイドセールスを内製化したものの、思うように成果が出ない」
「結局、うちのチームは人が足りないから仕方ないのか…」

現在、インサイドセールス組織のマネジメントをされているマーケティング部長の方であれば、こうした悩みを抱えているのではないでしょうか。

特に、IT・SaaS・クラウドサービス業界の中堅企業では、インサイドセールスの内製初期に「人材不足」という壁にぶつかるケースが非常に多いのが実情です。

しかし、本当にインサイドセールスが回らない原因は、単なる「人手不足」なのでしょうか?

本記事では、多くの企業が陥りがちなインサイドセールス組織の課題を掘り下げ、部長職であるあなたが今、下すべき3つの重要な判断について、具体的な事例とともにお伝えします。

目次

  1. あなたのインサイドセールスチームは大丈夫?3つの“誤解”が課題を隠している
  2. 事例で学ぶ:“人材不足”を引き起こす構造的な要因と、その解決策
  3. 部長がすべき3つの重要な判断
  4. なぜ現場任せでは解決しないのか?部長視点の重要性
  5. 将来の展望:インサイドセールスにおけるAIの役割
  6. まとめ:人材不足は“真因”ではない。真因は構造設計の欠如

1. あなたのインサイドセールスチームは大丈夫?
3つの“誤解”が課題を隠している

多くのマーケティング部長がインサイドセールス組織の現状を分析する際、陥りがちな3つの誤解があります。あなたのチームに当てはまらないか、ぜひチェックしてみてください。

誤解①:「ツールを導入すれば回る」という幻想

「まずはCRMMAツールを導入しよう」

これは間違った判断ではありません。しかし、そのツールを誰が、どのように、何のために使うかが設計されていなければ、ツールは宝の持ち腐れになります。

例えば、ある中堅SaaS企業のインサイドセールスチームは、高価なSFAツールを導入しました。しかし、入力ルールが曖昧だったため、活動履歴の記載がメンバーによってバラバラに。結果、データは属人化し、顧客のフォロー状況や進捗が見えないまま、ツールは単なる「日報入力システム」と化してしまいました。ツールはあくまで手段であり、それを活かすための「運用設計」がなければ、かえって業務を煩雑にするだけなのです。

誤解:「トッププレイヤーのやり方を真似ればよい」という錯覚

インサイドセールスチームには、ずば抜けた成果を出すエースプレイヤーがいるかもしれません。しかし、「とにかくあの人のやり方を真似て」というOJT任せの育成には大きな落とし穴があります。

エースプレイヤーの成功は、その人の属人的なスキルや経験、あるいは運に左右されている可能性があります。トークの間の取り方、相手の心を掴む質問の仕方など、言語化が難しい部分も多いでしょう。この方法では、チーム全体の底上げには繋がらず、エースが抜けた瞬間に組織全体が立ち行かなくなるリスクを抱えます。実際、離職率が高いインサイドセールスチームの共通点として、「特定の個人への依存度が高い」という点が挙げられます。

誤解:「とりあえず若手を採れば解決する」という思考

「人手が足りないなら、とにかく若手を採用しよう」と考えるのは自然なことかもしれません。しかし、育成基盤がない状態でメンバーを増やしても、期待した成果は出ません。

育成の仕組みがなければ、新メンバーは独学で試行錯誤するしかなく、モチベーションの低下や早期離職につながります。インサイドセールス経験者の平均在籍期間は1.5年〜2年程度というデータもあり、せっかく採用しても戦力化する前に辞めてしまうケースは珍しくありません。新しいリソースを投じる前に、既存のメンバーをどう活かし、どう育てるかの「仕組み」を考えることが先決です。

  • 架電数は多いが、商談化率が極端に低い
  • アポイントの質が低く、営業担当の時間ばかり浪費
  • 担当者のスキルや業界理解が乏しく、的外れな会話が多発
  • 成果レポートが曖昧で、改善提案もない

このような事態を避けるために、インサイドセールス代行会社を選ぶ際には、成果につながる5つの視点を持って見極めることが大切です。

2. 事例で学ぶ:“人材不足”を引き起こす構造的な要因と、その解決策

失敗事例:架電数しか見なかった中堅ソフトウェア会社の末路

中堅ソフトウェアA社では、インサイドセールスチームを立ち上げたものの、KPIを「月間1000件の架電」「月間30件の有効商談獲得」という量的な目標にしか設定しませんでした。

メンバーは「とにかく数をこなせ」と指導され、機械的に架電を繰り返すことに。しかし、肝心の商談化率は平均2%と低迷しました。なぜなら、架電後の「相手の課題を深掘りする質問」「興味を引くメールフォロー」といったプロセスが全く評価されていなかったからです。疲弊したメンバーの離職が続き、結局チームは立ち行かなくなりました。

成功事例:KPIをプロセス分解し、商談化率を150%に改善した中堅SaaS企業

一方で、中堅SaaS企業B社のインサイドセールスチームは、立ち上げから半年後、なかなか成果が出ないことに直面しました。そこでマーケティング部長は、「商談獲得」という最終的な結果だけでなく、プロセスを分解したKPIを導入する判断をしました。

【プロセスKPIの具体例】

  • 有効アプローチ率: 架電後の担当者との接続率
  • 課題ヒアリング完了率: 初回接触で顧客の課題を聞き出せた割合
  • 商談化率: 課題ヒアリング後、商談に繋がった割合
  • フォロー数: 商談化までに必要な平均接触回数

これにより、「架電数は多いが、アプローチが下手」「ヒアリングはできるが、商談化に繋げられない」といったメンバー個々の課題が数値で明確になりました。部長は、アプローチが苦手なメンバーにはロープレ研修を、商談化が苦手なメンバーには成功事例の共有会を実施。結果、チーム全体の商談化率は半年で1.5倍に向上し、組織としての成長基盤を築くことに成功しました。

3. 部長がすべき3つの重要な判断

インサイドセールスを「頑張るだけの組織」から「成果を出す仕組み」に変えるためには、部長であるあなたの意思決定が不可欠です。人的リソースが限られている今だからこそ、以下の3つの判断をしてください。

判断1. プロセスを分解して、KPIと育成を設計し直す判断

まず、インサイドセールスをアポを取るだけの役割から案件を創出するプロセスとして捉え直し、KPIと育成を再定義する判断をしてください。

【具体的なアクション】

  • KPIの再定義: 「架電数」や「商談獲得数」だけでなく、「アポ獲得率」「初回商談の発生率」「商談化までの平均フォロー回数」「フォロー中の案件進捗率」など、具体的なプロセスKPIを導入する。これにより、メンバーの活動内容を定量的に評価し、改善点が明確になる。
  • 育成マニュアルの作成: プロセスKPIの目標値を達成するための具体的なアクション(例:電話での話し方、ヒアリングシート、メールテンプレートなど)を明文化し、育成の標準化を図る。

判断2. インサイドセールスチームを「仕組み」で動かす方向へ移行する判断

次に、属人的な活動を「チームの資産」に変える判断をしてください。

【具体的なアクション】

  • トークスクリプト・メールテンプレートの型化と共有: 成功事例のトークや、成果につながるメール文面を、チームのナレッジとして共有する。さらに、A/Bテストを実施して最も効果的な型を常にアップデートする。
  • ナレッジベースの構築: 「よくある質問とその回答」「顧客の成功事例」「失敗事例とその改善策」などをCRMや共有ツール(Confluence, Notionなど)に蓄積し、新メンバーでもすぐにキャッチアップできる環境を整備する。
  • 商談クオリティの見える化: コールトラッキングツールを導入し、メンバーの架電内容を録音・分析。優れたトークをチーム全体で共有したり、改善点をフィードバックしたりする仕組みを作る。

判断3. 外部支援や他部門との連携強化に踏み切る判断

最後に、自社のリソースだけで抱え込まず、外部の力や他部門との連携に投資する判断をしてください。

【具体的なアクション】

  • パートナー導入時の判断基準: 「育成ノウハウの有無」「自社の商材への理解度」「費用対効果」などを基準に、インサイドセールス支援に特化した外部パートナーの活用を検討する。
  • マーケティング部とフィールドセールス部との連携強化:
  • 共通KPIの設定: 「商談からの受注率」「商談後の失注要因」「受注単価」など、インサイドセールスが創出した商談の「質」を評価する共通KPIを設定する。
  • 定期的なフィードバック会議の実施: マーケティングからは「どのリードが反応が良いか」、フィールドセールスからは「商談の質」についてフィードバックをもらい、インサイドセールス活動を常に最適化する。

4. なぜ現場任せでは解決しないのか?部長視点の重要性

インサイドセールスチームの課題は、現場メンバーの頑張りだけでは解決しません。なぜなら、「KPI設計」「組織設計」「他部署との連携」という3つの根本的な課題は、現場メンバーには変えられないからです。

部長がこの判断を誤ると、半年後には組織はこうなります。

  • チームのモチベーションは低下し、離職率がさらに上がる。
  • 採用コストばかりが膨らみ、成果に繋がらない負のスパイラルに陥る。
  • 営業戦略の中でのインサイドセールスの役割が曖昧になり、りあえずアポを取るだけの雑務部署」と見なされてしまう。

逆に、部長が今、この3つの判断を下せば、インサイドセールスは単なる「アポ獲得部隊」ではなく、営業戦略の心臓部として機能し始めます。限られたリソースでも成果を出し、将来のハイブリッド営業(オンライン×オフライン)時代に耐えうる強い組織になるのです。

5. 将来の展望:インサイドセールスにおけるAIの役割

今後のインサイドセールス組織では、AIの活用も鍵となります。例えば、AIが過去の行動履歴から有望な見込み客を自動でスコアリングしたり、架電内容を分析してトークの改善点を提示したりする時代が来ています。

しかし、こうしたテクノロジーを最大限に活用するためにも、まずは活動の数値化(KPI設計)属人的なナレッジの共有(仕組み化)といった土台作りが不可欠です。土台がなければ、AIに何をやらせればいいのかも分かりません。

 6. まとめ:人材不足は真因ではない。真因は構造設計の欠如

「インサイドセールスが回らない原因は人材不足」という考えは、多くの課題を隠してしまいます。

インサイドセールスチームを成功させるために今求められているのは、現場プレイヤーの責任を追及することではありません。

部長職であるあなたが、構造的な問題を見抜き、解決するための「仕組み」を設計する判断を下すことです。

あなたの判断ひとつで、インサイドセールスは頑張るチームから成果を出す組織に変わります。本記事でご紹介した3つの判断を、ぜひ今日から実行に移してみてください。

組織課題の解決は、プロの知見を借りるのが最も近道です

もし「自社だけでインサイドセールスの仕組み化や育成体制を構築するのが難しい」「リソース不足で、まずはプロに任せたい」とお考えであれば、専門家の力を借りるのも一つの有効な手段です。

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