突然ですが、世界には何種類の検索エンジンが存在すると思いますか?
Googleを筆頭にYahoo!、Microsoftが運営するBing、中国でシェア率の高いBaidu(百度)、ロシアで主流のYandex、プラバシー重視のDuckDuckGo、利益の80%以上をサスティナビリティに寄付しているEcosiaなどなど。実に40種類以上の検索エンジンが存在します。
では日本国内において最もシェア率が高い検索エンジンは何かというと、言うまでもありませんね。そう、Googleです。ちなみにYahoo! JapanのアルゴリズムはGoogleのそれを基盤にしています。
そのためGoogleとYahoo! Japanを同一とみなすと、シェア率は95%以上です(残りの大半はBingが締めている)。
つまりオウンドメディアを運営して、SEO対策によってコンテンツマーケティングを実施する以上、「Googleへの順応は絶対」なのです。今回はそんなGoogleにおける「Googleサジェスト」について徹底解説します。
Googleサジェストの理解は、SEO対策ならびにコンテンツマーケティングを実施する上で重要です。是非ともこの機会にGoogleサジェストへの理解を深め、SEO対策への活用をマスターしてください。
「サジェスト(Suggest)」とは日本語で「提案する」という意味の言葉です。そしてGoogleサジェストは、皆さんが普段から目にする検索エンジン機能のひとつ。検索窓にキーワードを入力すると、それに応じて検索キーワードを補完する機能です。例えば検索窓に「Google」と入力すると、次のようにサジェスト機能が働きます。
このように検索候補を一覧で表示する機能を、Googleサジェストと呼びます。ただし、Googleにおける正式名称は「Googleオートコンプリート」です。
「Googleサジェストは検索キーワードを補完する機能、Googleオートコンプリートは検索履歴を表示する機能」と説明しているWebサイトが多いのですが、これは間違いなのでご注意ください。
Googleオートコンプリートは公式で「検索キーワードの入力を高速化する Google 検索の機能」と説明されています。しかしこれには、検索キーワードを補完する機能と、検索履歴を表示する機能の両方が含まれているので、上記の説明は間違いです。
ちなみに、Googleの公式にて「サジェスト」という言葉は用いられていません。Googleサジェストは、世界のWebマーケターが独自に使用している用語ということです。Googleサジェストのほうが一般的に使われている用語なので、本記事でもGoogleサジェストで用語を統一して話を進めていきます。
Googleはサジェスト機能に、使用するアルゴリズムの全てを公開しているわけではありません。しかし、Googleが公式ブログ等で公開している情報から、次のような4つの仕組みでGoogleサジェストが成り立っていると考えられます。
第一に、Google上で実行された検索結果を反映しています。2015年1月にBackchannel(現在はWIREDに移行)で投稿された記事によると、Googleが1日に処理している検索数は30億回だそうです。
「The statistics remain staggering.
Google accepts over 3 billion search queries a day.」
(驚異的な統計が続いています。
Googleが1日に受け入れる検索クエリは30億回を超えているのです。)
(出典:How Google Search Dealt With Mobile(Googleはモバイル検索へどう対処しているか)(WIRED))
2015年の情報なので、現在はさらに多くの検索回数を処理していると推察できます。Gogoleサジェストはまず、そうした世界中の検索を反映して「入力されたキーワードに対して最も検索率の高い別のキーワードを組み合わせる」のが基本的な仕組みです。
次にユーザーごとの検索履歴データも参考にします。これは単に、検索履歴を表示するのではありません。サジェスト機能として表示するキーワードを、ユーザーごとにカスタマイズしているのです。
先ほど掲載したGoogleサジェストのスクリーンショットは、日頃使用しているChromeブラウザ上で「Google」と入力した結果です。Googleサジェスト関連のキーワードが多いのは、当記事を執筆するにあたり、Googleサジェストに関する情報を検索することが多いからです。
以下のスクリーンショットは、普段使用しないSarariブラウザにて、Googleの検索窓に「Google」と入力した際に表示されたGoogleサジェストです。
Googleサジェスト関連のキーワードが1つもありませんね。これは「検索履歴データがほとんどゼロに近い状態」でGoogl検索を使用したためです。Googleサジェストはユーザーの検索履歴データを反映しているので、ユーザーによって表示されるキーワードが異なります。
もう1つユーザーごとにカスタマイズされているのが「使用言語」と「居住地」です。
例えば前掲した2枚のスクリーンショットは「Google」と英字を入力しているにも関わらず、表示されるGoogleサジェストには、日本語キーワードを組み合わせたものが多分に含まれています。これはGoogleがユーザーの使用言語に合わせて、表示するキーワードを変更しているからです。
ユーザーの居住地に関しても、情報を収集しGoogleサジェストに反映させています。例えばGoogle検索で「SEO会社」と入力すると、Googleサジェストにて次のように、地域名を含むキーワードが表示されました。
ちなみに普段使用しないSafariブラウザで検索した場合の結果なので、居住地情報に関しては特にGoogle検索を利用しなくても収集されます。恐らくは端末ごとに振り分けられたIPアドレスから特定しているのでしょう。
このようにGoogleでは検索履歴のデータに合わせて、使用言語や居住地などの情報を反映させながらユーザーごとにGoogleサジェストをカスタマイズしています。
もう1つ重要な仕組みが「ポリシー違反に該当するサジェストを表示させない」ことです。主なポリシー違反は次のようなものになります。
(出典:How Google autocomplete works in Search(検索エンジンにおけるGoogleオートコンプリートの機能)(Google The Keyword))
Googleサジェストには上記のポリシー違反を排除する機能が組み込まれていますが、完璧ではありません。時折、不適切なサジェストが表示されることも。万一そうした状況に遭遇したら、Googleサジェストに右下に表示されている「不適切な検索候補の報告」をクリックしましょう。
上記のようなポップアップが表示されるので、不適切と判断したサジェストを選びその理由にチェックを入れます。
それでは、SEO対策ならびにコンテンツマーケティングにおけるGoogleサジェストの活用方法について解説していきます。まず、一般的な用途は2つあります。
コンテンツ配信を軸にしたマーケティング戦略では「検索の動向とニーズの把握」は欠かせない作業です。
Googleサジェストの仕組みで解説したように、Googleは世界中の検索結果を反映させて、検索候補となるサジェストを表示しています。つまり、Googleサジェストを確認することは「直近での検索者の兆候を知ること」と同義です。
例えば現在ホットな話題として上がっている「自民党総裁選」について検索してみましょう。Googleの検索窓に「総裁選」と入力すると、「情勢」「いつ」「世論調査」といったキーワードが組み合わされたサジェストが表示されます(2021年9月下旬時点)。
Googleサジェストを見る限り、検索者の関心は総裁選の情勢に向けられているようです。基本的に「最も検索される可能性の高いキーワード」が表示されるため、検索の動向調査に大いに活用できます。
ただし、自分自身の検索履歴が反映されることを考慮しなければいけません。自身へのカスタマイズを反映させない検索方法は後ほどご紹介します。
Googleサジェストにて上位表示されるキーワードの組み合わせは「比較的検索ニーズが高い」と判断できます。SEO対策ならびにコンテンツマーケティングの基本に「ロングテールSEO」と呼ばれるテクニックがあります。
これは「ビッグキーワード」と呼ばれる単一の検索キーワードで上位表示を狙うのではなく、複数の検索キーワードを組み合わせた「ミドルキーワード」または「スモールキーワード」のコンテンツを充実させて上位表示を狙い、Webサイトを強化するものです。
マーケティング戦略に繋がるミドルキーワードやスモールキーワードを探す上で、Googleサジェストが役立ちます。例えばGoogle検索で「PEST分析」と入力すると、次のようなGoogleサジェストが表示されます。
これを見れば、「PEST分析というワードの意味や具体的な事例」「コロナ禍を踏まえたPEST分析の活用方法」などについて、気になっている人が多いと分析できます。
さらに「PEAST分析 2021」と入力すると、別のGoogleサジェストが確認できます。
この検索には「PEST分析の、直近の事例が知りたい」といったニーズが伺えます。
このようにして「検索ニーズがある事柄か否か」の判断ができ、コンテンツ案作成時の参考にするだけでなくロングテールSEOを戦略的に実行する上でも有効活用できます。
SEO対策やコンテンツマーケティングにおける一般的な用途とは少し逸れますが、「サジェスト汚染の調査」にも活用できます。
ちなみにサジェスト汚染とは「商標+ネガティブキーワード」で構成されるGoogleサジェストのことです。例えば特定の企業名をGooge検索で入力すると、次のように表示されることがあります。
※プライバシー保護のためぼかしを入れてあります
Googleサジェストとして表示されている「やばい」や「ブラック企業大賞」は明らかにネガティブなキーワードなので、「サジェストが汚染されている」と言えます。
自社の商標でサジェスト汚染が確認される場合、前述の「不適切な検索候補の報告」にてGoogleサジェストの削除要請を行えます。しかしながらGoogleサジェストのポリシーに違反していない限り削除はされないので、必ずしも要請が通るわけではありません。
サジェスト汚染は採用活動等など商標イメージが重要な場面において、活動効果を著しく下げる可能性が高いため排除に取り組みましょう。
それでは、実際にGoogleサジェストを取得する方法についてご紹介します。
まずは手動でGoogleサジェストを取得する方法です。Googleの検索窓に特定のキーワードを入力し、そこに表示されるGoogleサジェストを確認します。
ただしいつも通りGoogleを使用すると検索履歴が反映されるので「シークレットモード(プライベートブラウザ)」を起動しましょう。ブラウザを起動したら起動用のショートカットキーを入力します。
すると次のようなウインドウが表示されます。
シークレットモード(プライベートブラウザ)を使用すると検索履歴などのカスタマイズデータが反映されないため、純粋なGoogleサジェストを調査できます。ただし、1つ1つキーワードを入力しなければいけないので手間がかかります。
Googleサジェストを手動で検索するには限界があるため、ツールの活用をお勧めします。Googleが提供するツールとしては「Googleキーワードプランナー」が活用できます。
そもそもはGoogle広告を出稿するためのツールですが、Googleサジェスト調査にも利用可能です。Googleキーワードプランナーにアクセスしたら、「新しいキーワード見つける」をクリックしましょう。
次に調査したい検索キーワードを入力し「検索」をクリックします。すると次のようにGoogleサジェストの一覧と、大まかな月間平均検索ボリュームが等が表示されます。
注意しなければいけないのは、これらのGoogleサジェストは「Google広告を利用する上で最適化された一覧」ということ。お気づきの方も多いと思いますが、手動で取得した場合のGoogleサジェストと結果が異なります。
GoogleキーワードプランナーはあくまでGoogle広告運用のためのツールなので、通常のGoogleサジェストとは表示される仕組みが異なるものと考えられます。
Googleサジェストを取得するにあたり、効率的かつより正確なサジェストを取得する方法が「外部のツールを利用する」です。外部ツールといっても無料ツールで十分なのでご安心ください。
具体的には「ラッコキーワード」や「Ubersuggest」を利用してGooelサジェストの一覧を取得します。外部ツールの詳しい情報については以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参考記事:サジェストキーワードとは? コンテンツのSEO対策で理解すべきこと(LEAPT)
最後に、混同されがちなGoogleサジェストとGoogleトレンドの違いについて解説します。
Googleトレンドとは、Googleがコンテンツマーケティング等のために提供しているSEO対策ツールのひとつです。
その名称通り「Googleで検索されている話題性の高いキーワード」を調査できます。例えばGoogleトレンドにアクセスし、画面左上のメニューボタンをクリックして「急上昇ワード」をクリックしてみましょう。
まず表示されるのは、当日を含む日別の検索トレンドキーワードと検索数、さらにトップコンテンツのリンクです。タブを「リアルタイムの検索トレンド」に変更すると24時間以内の検索トレンドキーワードを調査できます。また、国別のトレンドを知ることも可能です。
ただし、これでは直近のトレンドしか把握できないため、GoogleサジェストのようにSEO対策やコンテンツマーケティングに活かすのは難しいでしょう。
というのも、Googleサジェストは中長期的に検索されているキーワードが反映されているケースが多いため、直近のトレンドをコンテンツマーケティングに取り入れるよりも有効性があります。
コンテンツマーケティングにおけるGoogleトレンドは、主に「キーワードごとにトレンドの変化を調査し、作成・配信するタイミングを掴む」といった使い方をします。
例えばGoogleトレンドの検索窓に「Googleサジェスト」と入力してトレンドラインを表示し、期間を「過去5年間」に変更してみてください。
「毎年10月〜12月にかけて、Googleサジェストに対する関心がピークになる」と把握できます。つまり、1年のうち10月12月という期間が、Googleサジェストに関するコンテンツを配信するタイミングとして最も適しているのです。
例えば「Googleサジェストの活用方法」といった記事を配信している場合は、毎年その時期に情報を更新して再掲載すると、SEO効果が高まると考えられます。
このようにGoogleトレンドは、Googleサジェストの補完的な役割として活用するとSEO対策やコンテンツマーケティングを有利に運ぶツールとして活用できます。
SEO対策ならびにコンテンツマーケティングでは、さまざまな手法やツールを駆使する必要があります。Googleサジェストや本記事でご紹介したツールはその一部です。
これまでコンテンツマーケティングにGoogleサジェストや関連ツールを活用してこなかった方は、是非Googleサジェストを中心としたコンテンツ案作成にぜひ取り組んでみてください。