インサイドセールスを内製化し、マーケティング部門と連携して新たな営業体制を構築しようと試みる企業が増えています。特に、変化の激しい現代において、顧客との継続的な接点を持つインサイドセールスの重要性は、BtoB製造業の分野でも高まっています。
しかし、多くの企業が直面する課題があります。それは、「インサイドセールス人材の採用・育成が思うように進まない」という現実です。
技術要素が強く、顧客ごとの仕様調整が必要なBtoB製造業の営業は、長年の経験と勘に頼る「属人化」が起こりやすい傾向にあります。そのため、ベテラン営業のノウハウが言語化されず、インサイドセールス担当者が育たないという悪循環に陥ってしまうケースは少なくありません。
マーケティング部門がせっかく多くのリードを創出しても、インサイドセールスやフィールド営業との連携がうまくいかず、適切なタイミングで商談に繋げられずに失注してしまうこともあります。結果として、インサイドセールスという施策自体が「失敗だった」という烙印を押されてしまうことさえあります。
「人がいないから、新しい営業体制は築けない」
そう諦めるのは、まだ早いです。
慢性的な人材不足の時代だからこそ、「人がいなくても回せる仕組みをどう作るか」という発想への転換が不可欠です。そして、その変革の鍵を握っているのが、マーケティング部門の皆さんです。
リード創出という役割から一歩踏み出し、営業の上流プロセス全体を設計する「営業の設計者」に進化することで、組織全体の営業成果を飛躍的に向上させることができるのです。
インサイドセールス内製化の旗を上げたにもかかわらず、なぜ多くのBtoB製造業で壁にぶつかってしまうのでしょうか。その背景には、製造業特有の構造的な問題と、そこから生まれる4つの「罠」が潜んでいます。
製造業の営業は、しばしば「職人技」に例えられます。長年の経験で培われた顧客との人間関係、競合他社にはない技術的な知識、現場でのトラブル対応力。これらは熟練営業の貴重な資産であり、彼らの「勘と度胸」に商談が依存しているのが現状です。
しかし、このノウハウは言語化・共有されることがほとんどありません。そのため、新しくインサイドセールス担当者を採用しても、彼らに引き継ぐべき「型」がなく、育成が困難になります。結果として、インサイドセールスは簡単なスクリーニングやアポイント設定しかできず、「結局、ベテラン営業がいないと何もできない」という事態に陥ってしまいます。
BtoB製造業の商談では、顧客の技術的な課題を深く理解し、解決策を提示する力が求められます。この役割を担うのが「技術営業」です。一方で、インサイドセールスは、必ずしも専門的な技術知識を持っているわけではありません。
この知識ギャップが、商談の機会損失を引き起こします。インサイドセールス担当者が、顧客の技術的な問い合わせにうまく対応できなかったり、適切な技術営業にリードを繋げられなかったりすることで、顧客の興味が冷めてしまい、せっかくの商談機会を失ってしまうのです。
マーケティング部門がセミナーや展示会、ウェブサイトを通じて多くのリードを創出しても、そのリードが営業成果に繋がらないケースが多発します。
原因は、リードを渡す基準が曖昧なことと、その後のフォローアップ体制が構築されていないことにあります。マーケティングが「見込み客」と判断したリードも、営業から見れば「情報収集だけの冷やかし客」と判断され、適切なフォローがなされません。
結果、マーケティング部門は「これだけリードを供給しているのに」と不満を抱え、営業部門は「質の低いリードばかり渡される」と不満を抱え、両部門の溝が深まってしまいます。
上記のような課題が重なると、組織内で「インサイドセールスはコストばかりかかる割に成果が出ない」という印象が定着してしまいます。特に、効果測定が曖昧なまま運用を続けると、その印象は強固なものになります。
慢性的な人材不足が叫ばれる中、貴重な人件費をかけたインサイドセールスが成果を出せないとなると、経営層からの評価も厳しくなり、最悪の場合、部門縮小や廃止という決断に至ることもあります。
「人がいないからできない」ではなく、「人がいなくても回せる仕組みをどう作るか」。この発想の転換こそが、インサイドセールスを成功に導く鍵です。その変革の核となるのが、マーケティング部門が主導する以下の3つの柱です。
全てのリードをインサイドセールスがフォローするのではなく、リードの質と温度感に応じて最適なプロセスを設計することが重要です。
(1)リードの「質」に応じた分類と受け渡し基準の明確化
リードを以下のように分類し、それぞれに応じたフローを設計します。(2)顧客の温度感に応じたナーチャリングシナリオの定義
リードの検討フェーズを「情報収集」「比較検討」「意思決定」などに分け、それぞれに応じたコンテンツを自動で提供する仕組みを構築します。
この仕組みを構築することで、インサイドセールスはナーチャリング業務から解放され、本当にフォローすべきホットなリードに集中できます。
営業の「型化」は、属人化を排除し、組織全体の営業力を底上げする最も効果的な手段です。
(1) ベテラン営業の「技」を言語化する
マーケティング部門が主導し、ベテラン営業へのヒアリングを徹底的に行います。以下の質問を投げかけ、彼らのノウハウを「型」に落とし込んでいきましょう。
(2) 営業ナレッジを「組織の共通資産」に変える
ヒアリングで得られた知見を以下の形で標準化します。
これらの標準化されたナレッジを、マーケティング、インサイドセールス、フィールド営業が共有できるSFAなどのツールで一元管理します。
限られたインサイドセールス人材を最大限に活用するために、業務の「選択と集中」を行い、一部を外部に委託したり、ツールで自動化したりする戦略が必要です。
(1) 一部業務の外部委託
以下の業務は、外部のインサイドセールス代行会社に委託することを検討しましょう。
これにより、社内のインサイドセールス担当者は、より高度なナーチャリングや、見込みの高いリードへのアプローチといったコア業務に集中できます。
(2) マーケティングオートメーション(MA)とSFAの徹底活用
MAとSFAを連携させることで、営業活動の多くを自動化・効率化できます。
これらの仕組みを構築することで、「人が手動でやっていたこと」を「仕組みが自動でやってくれる」状態を作り出すことができます。
インサイドセールスを「失敗施策」に終わらせないために、マーケティング部門が今日からできる具体的なアクションを5つのステップにまとめました。
部品メーカーA社は、インサイドセールスを内製化しましたが、商談創出数が増えないことに悩んでいました。マーケティング部長は、この状況を打開すべく、営業の上流プロセスを再設計することを決断しました。
まず、ベテラン営業への徹底的なヒアリングを実施。顧客が抱える課題を特定するための「ヒアリング質問リスト」と、製品の強みを効果的に伝える「トークスクリプト」を作成しました。
次に、リードの受け渡し基準を明確化。特定の製品ページを閲覧したリードはインサイドセールスを介さず、すぐに技術営業に引き渡す仕組みを構築。一方、業界トレンドのホワイトペーパーをダウンロードしたリードは、インサイドセールスが担当し、ナーチャリングに注力する体制を整えました。
結果、インサイドセールスは、本当に価値のある商談の創出に集中できるようになり、商談数は3ヶ月で1.5倍に増加。若手のインサイドセールス担当者も、型化されたナレッジを学ぶことで早期に戦力化し、組織全体の営業力が飛躍的に向上しました。
BtoB製造業における営業のブラックボックス化は、インサイドセールスの導入を阻む大きな要因でした。しかし、この課題を乗り越え、「人がいなくても回せる仕組み」を構築することは、企業にとって持続的な成長を実現するための重要な経営戦略です。
マーケティング部門がリード供給の役割に留まらず、インサイドセールスや営業と密に連携し、上流プロセス全体を設計する「営業の設計者」となることで、組織全体の営業力を根本から強化できます。
今回ご紹介した3つの再設計ポイントは、インサイドセールス人材が不足している状況でも、着実に成果を出すための実践的なアプローチです。
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