Defualt

インサイドセールスが定着しないのは“人材”のせいではない
営業本部長が見直すべき構造と役割設計Column

2026.02.16

インサイドセールスが定着しないのは“人材”のせいではない 営業本部長が見直すべき構造と役割設計

 

「インサイドセールスを内製化したが、どうも機能しない」

BtoB製造業の営業本部長であるあなたは、このような悩みを抱えていませんか?

長年、技術力と現場の経験に支えられてきたあなたの企業で、営業組織の変革は喫緊の課題となっています。熟練の営業マンが引退し、新規の顧客開拓が鈍化する中で、展示会や飛び込み営業といった従来のやり方は通用しなくなりつつあります。

そこで、新しい営業手法として注目したのがインサイドセールスしかし、いざ導入してみると、期待したほどの成果が出ず、むしろ「人を採用したがなかなか育たない」「成果を出せる人材が定着しない」といった新たな課題が噴出しているのが現実かもしれません。

しかし、その根本原因は本当に人材にあるのでしょうか。

本記事では、インサイドセールスの定着・成果不振が、実は営業組織の構造的な課題から生じていることを解説します。そして、インサイドセールスを「単なる営業支援部隊」から「商談創出のインフラ」へと進化させるための、具体的な営業設計のヒントを、営業本部長であるあなたに提供します。

目次

  1. 製造業におけるインサイドセールス導入の現実と潜む罠

     

  2. 人材のせいにする前に見直すべき営業設計上の構造課題

     

  3. 製造業だからこそ活きるインサイドセールスの可能性

     

1.  製造業におけるインサイドセールス導入の現実と潜む罠 

BtoB製造業において、インサイドセールスを導入する企業は増えています。その背景には、以下のような製造業ならではの課題があります。

    • 熟練営業マンの高齢化と退職: 長年培ってきた顧客との関係性や、製品・技術に関する深い知識が、属人化したまま失われつつある。
    • 新規顧客開拓の非効率性: 遠方への訪問や、見込みの薄い顧客への商談に時間を割くなど、営業活動のROI(投資対効果)が低下している。
    • 技術の専門性の高さ: 製品やサービスが複雑化し、顧客の課題を深く理解するためには、一定の専門知識が求められる。

こうした課題を解決するために導入されたはずのインサイドセールスですが、その多くが思うような成果を出せていないのが実情です。

◆よくある課題の例

    • 「人を採用したが育たない」「辞める」「定着しない」
      インサイドセールスの業務が「電話をかけるだけの雑務」と認識され、キャリアパスが見いだせず離職につながってしまうケースが後を絶ちません。特に、専門的な知識や経験を持つことが評価される製造業の文化において、インサイドセールスの仕事は「軽い仕事」「若手の登竜門」と見なされがちです。
    • 結局は営業部がフォローしており、インサイドセールスが業務分担として機能していない
      インサイドセールスが創出した商談の質が低く、フィールドセールス(外勤営業)が「このアポは時間の無駄だ」と感じてしまう。その結果、質の低い商談ばかりを創出してしまい、結局営業部が案件化前の見込み客発掘からフォローすることになってしまいます。
    • 形式的にインサイドセールスを立ち上げたものの、組織の中で孤立してしまっている
      営業部との連携ルールや評価軸が曖昧なため、インサイドセールスが何を目標に動けばいいのかわからず、組織の中で浮いた存在になってしまいます。

この状況を「人材のせい」にして放置していては、いつまで経っても成果は出ません。今こそ、営業設計そのものを見直すタイミングなのです。

 

2. 人材のせいにする前に見直すべき“営業設計上の構造課題”

インサイドセールスが機能しない原因は、採用や育成の問題ではなく、多くの場合、以下の4つの構造的な誤解と課題に起因しています。

1. インサイドセールスを「営業支援部隊」としてしか捉えていない構造的誤解

多くの企業がインサイドセールスを「アポ取り」や「見込み客の電話フォロー」といった、フィールドセールスの"お手伝い"と位置づけています。

しかし、この認識は根本的に間違っています。

本来、インサイドセールスは商談創出のインフラ”です。マーケティング部門が獲得したリード(見込み客)を育成し、顧客の課題を深く掘り下げ、質の高い商談を創出する“前線”を整える戦略要員なのです。

◆商談創出のインフラとしての役割詳細

    • リード育成(ナーチャリング): 顧客のWebサイト閲覧履歴や資料ダウンロード状況といった行動データに基づき、関心度が高い顧客へ優先的にアプローチします。単なる電話フォローではなく、「なぜその資料をダウンロードされたのですか?」「どのような課題をお持ちですか?」と、顧客の潜在的な課題を掘り下げるコミュニケーションを徹底します。
    • 質の高い商談創出: 顧客の課題、予算、決裁権、導入時期といったBANT情報(Budget, Authority, Needs, Timeline)を深くヒアリングします。この情報が揃っている商談は、フィールドセールスにとって貴重な情報となり、受注確度の向上につながります。

2. KPIと評価軸の曖昧さ

「アポの件数だけを追って終わり」になっていませんか?

インサイドセールスの成果指標が「アポ獲得件数」だけに偏ってしまうと、数をこなすための質の低い商談が増加し、フィールドセールスとの連携不和を招きます。

重要なのは、営業全体の成果に連動した評価軸を設けることです。

◆ダメなKPIと良いKPIの比較

ダメなKPIの例

良いKPIの例

理由

獲得アポ件数

商談化率

商談の質を問わずアポを取ることが目的になり、フィールドセールスの負担が増加する。

電話コール件数

パイプライン貢献度

活動量だけを評価し、成果に直結しない。営業全体の成果への貢献を可視化することで、ISの存在意義が高まる。

単独での評価

ISが創出した商談からの受注率

インサイドセールスとフィールドセールスの評価を連動させることで、連携が強化され、チームとしての成果最大化につながる。

 

◆評価制度への落とし込み

インサイドセールス担当者の評価が、営業全体の成果に連動する仕組み(例:ISが創出した商談からの受注額の一部をインセンティブとして還元)を導入することで、インサイドセールスは「雑務担当」ではなく、「営業チームの一員」としてモチベーションを高く保つことができます。

3. 営業部内での“インサイドセールスの役割定義”と“連携ルール”が不在

「誰がどこまでやるのか」という役割の境界線が曖昧なままでは、組織は機能しません。特に、「インサイドセールスがどこまで顧客の課題をヒアリングするか」「フィールドセールスにどの情報まで引き継ぐか」といったルールが不在だと、連携は破綻します。

◆インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担表

営業プロセス

インサイドセールスの役割

フィールドセールスの役割

リード獲得

既存リストの整理、見込み顧客へのファーストアプローチ

なし(主にマーケティング部門の役割)

リード育成

顧客の課題ヒアリング、興味度合いの評価(ホットリードか判断)

必要に応じて情報提供、技術的な質問への回答サポート

商談創出・引き継ぎ

BANT情報のヒアリング完了後、商談設定。CRM/SFAに情報を詳細に記録

引き継ぎ情報をもとに商談準備・実行。ISから事前に顧客情報を共有

商談クローズ

なし(フィールドセールスが担当)

最終的な提案、クロージング、受注

失注後のフォロー

顧客の関心度に合わせ、定期的な情報提供や再アプローチ

ISに情報をフィードバック。今後の営業戦略に活かす

 

この分担表を策定し、組織全体で共有することで、フィールドセールスとインサイドセールスの役割が明確になり、無駄な業務重複や「伝言ゲーム」のような非効率なやり取りがなくなります。

また、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)を積極的に活用し、顧客情報を一元管理することも、円滑な連携には不可欠です。

4. 本部長が“戦略としての営業分業”にコミットできていない構造

営業組織の変革は、現場の熱意や努力だけで成し遂げられるものではありません。インサイドセールスを組織に定着させ、成果を出すためには、営業本部長がトップダウンで分業モデルを設計し、KPIや評価制度、連携ルールにまでコミットする姿勢が不可欠です。

「インサイドセールスを導入するぞ」という号令をかけただけで、具体的な設計を現場任せにしていないでしょうか?この戦略的な視点とコミットメントがなければ、インサイドセールスは単なる戦術として形骸化してしまいます。

3. 製造業だからこそ活きるインサイドセールスの可能性

「技術力や現場の経験こそが価値」という製造業の文化は、決してインサイドセールスの妨げになるものではありません。むしろ、この強みを活かすことで、他社にはない強力な営業組織を構築できます。

◆製造業におけるインサイドセールスの成功事例

    • 事例:工作機械メーカーA
      • 課題: 専門知識を要するため、新規営業のハードルが高い。若手営業マンが育たず、ベテラン営業マンの負担が大きい。
      • 導入した施策: 技術部門のOBをインサイドセールスチームに配置。技術的な質問が多い顧客に対し、一次対応をインサイドセールスが担当。これにより、フィールドセールスは「技術的な見込みがある」と判断した顧客に集中できるようになった。
      • 成果: フィールドセールスの商談件数は変わらないまま、受注率が20%向上。商談準備にかかる時間も大幅に短縮され、効率的な営業活動が実現した。

この事例のように、インサイドセールスは専門知識を持つ人材の能力を、より多くの顧客に効率的に提供するための「窓口」となりえます。

結論:インサイドセールスは「人を雇うこと」ではなく「営業組織を再設計すること」

インサイドセールスが機能しないのは、「人材不足」という現場の課題に見えて、その本質は「営業組織の構造設計」というマネジメントレイヤーの課題です。

特に製造業では、属人化を脱却し、安定的に商談を創出し続けるためには、インサイドセールスを中核に据えた分業体制の構築が必須です。

「人がいない、育たない、辞める」という悩みを現場の問題”と切り離してしまうのではなく、営業組織の抜本的な構造改革の入り口として、インサイドセールスを再設計する視点を持つことが、営業本部長に求められています。

今、あなたの営業組織は、インサイドセールスを「単なるリソース」としてではなく、「成果を出すための戦略」として機能させることができていますか?

 

ビズブーストが提供するサービスと事例

本記事で解説した営業組織の構造改革は、一朝一夕に実現できるものではありません。特に、日々の業務に追われる中で、戦略的な組織設計まで手が回らないという営業本部長の方も多いのではないでしょうか。

もしあなたが、インサイドセールスの導入・定着に課題を感じているのであれば、ぜひビズブーストにご相談ください。当社は、BtoB製造業の営業組織を熟知し、インサイドセールスの戦略設計から実行までを一貫してサポートしています。

◆インサイドセールス戦略設計コンサルティング
「何から始めればいいか分からない」「既存の体制を改善したい」という方向けに、貴社の事業特性に合わせた最適なインサイドセールス体制の構築を支援します。
役割定義、KPI設計、フィールドセールスとの連携ルールの策定まで、営業本部長が主導すべき構造改革をプロの視点からサポートします。

詳細はこちら

◆インサイドセールス代行サービス
経験豊富なチームが、貴社のインサイドセールス部門として機能します。
商談創出のプロセスを外部に任せることで、フィールドセールスはコア業務である商談に集中でき、早期に成果を出すことが可能です。

詳細はこちら

◆導入事例
実際に、インサイドセールス体制を刷新し、成功を収めた企業の事例もご紹介しています。
「インサイドセールス立ち上げから運用まで伴走。分業体制で商談創出件数1.5倍、コスト削減にも成功」

◆無料ダウンロード資料のご案内
インサイドセールス導入のヒントや具体的なノウハウをまとめた資料を無料で提供しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

▼インサイドセールス導入ガイドブック
インサイドセールスの基本から、成功のためのポイントまでを網羅的に解説した資料です。
資料ダウンロードはこちら

▼インサイドセールス成功の秘訣:実践ノウハウ集
KPI
設計やトークスクリプトの作成方法など、すぐに実践できる具体的なノウハウを詰め込んだ資料です。
資料ダウンロードはこちら

 

著者情報 ビズブースト編集部

ビズブーストブログは、「課題を成長に変える」ための実践的な情報メディアです。営業、マーケティング、採用、テクノロジー。どの分野であれ、あなたの「今」の疑問に答え、明日からの具体的で実行可能なアクションを引き起こすノウハウを執筆しています。