「HubSpotって名前はよく聞くけど、MAとして何ができるの?」「プロパティ、ライフサイクルステージ…用語が独特でよくわからない」。そんな声をよくいただきます。
この連載では、HubSpotのマーケティングオートメーション(MA)の魅力を全5回でご紹介します。第1回の今回は、HubSpotのMAがどんな流れで動いているのか、そしてその中で出てくる独特な用語をまとめて解説します。ここを押さえておくと、HubSpotの画面やヘルプ記事がぐっと読みやすくなります。
HubSpotのMAは、見込み客との関係を次の6つのステップで進めていきます。それぞれのステップで使う機能と、覚えておきたい用語を整理しました。
| ステップ | 主な機能 | 押さえたい用語 |
|---|---|---|
| ① 集める | フォーム、トラッキングコード、チャット | コンタクト、流入元 |
| ② ためる | CRM(顧客データベース) | プロパティ、オブジェクト、関連付け、アクティビティ |
| ③ 分ける | セグメント | アクティブセグメント、静的セグメント、ページビュー |
| ④ 育てる | マーケティングメール、ワークフロー | ワークフロー、登録条件、スマートコンテンツ |
| ⑤ 渡す | リードスコアリング、営業への通知 | ライフサイクルステージ、リードステータス |
| ⑥ 測る | レポート、ダッシュボード、キャンペーン | (第4回で詳しく解説) |
Webサイトにトラッキングコードを設置すると、訪問者がどのページを見たかを記録できるようになります。訪問者がフォームに入力すると、その人はコンタクト(見込み客や顧客1人ひとりのデータ)として登録され、フォーム送信前の閲覧履歴もひも付けられます。
さらにHubSpotは、そのコンタクトが「検索から来たのか」「広告から来たのか」「メールから来たのか」といった流入元を自動で記録します。特別な設定をしなくても「どこから来た人か」がわかるのは、HubSpotの便利なところです。
集めた情報は、HubSpotのCRM(顧客データベース)にたまっていきます。ここで登場するのが、HubSpotを理解するうえで最も大切な用語です。
プロパティとは、コンタクトや会社が持つ情報の「項目」のことです。氏名、メールアドレス、会社名、役職、業種、最終訪問日などがプロパティにあたります。HubSpotが標準で用意しているプロパティに加えて、自社に必要な項目を自由に追加することもできます。
HubSpotでは、この後に出てくるセグメントもワークフローもレポートも、すべてプロパティの条件で動きます。「業種プロパティが製造業の人」「最終訪問日が30日以内の人」といった形です。つまり、どんなプロパティを用意するかが、MAでできることを決めると言っても過言ではありません。
HubSpotでは、データの種類のことをオブジェクトと呼びます。代表的なものは次のとおりです。
これらのオブジェクト同士をつなぐことを関連付けと言います。「この担当者は、この会社に所属していて、この商談に関わっている」という関係を持たせることで、マーケティングの活動が営業の成果にどうつながったかを追えるようになります。
各コンタクトの画面にはアクティビティがあり、ページの閲覧、メールの開封・クリック、フォーム送信、営業とのやり取りなどが時系列で並びます。営業担当者が商談前に「この人は何に興味を持っているか」をひと目で確認できます。
たまったコンタクトを、条件で絞り込んでグループにする機能がセグメントです(以前は「リスト」と呼ばれていました)。セグメントには2種類あります。
セグメントの条件には、プロパティだけでなくページビューも使えます。URLを指定するだけで、「料金ページを見た人」「導入事例ページを見たけれど、まだ問い合わせはしていない人」といったグループを作れます。
URLは「次と等しい」「次を含む」などの条件で指定できるので、たとえば「/case/ を含む」とすれば、事例ページ全体をまとめて対象にできます。
対象になるのは、HubSpotのトラッキングコードを設置したページです。HubSpotで作ったページでなくても、WordPressなど他のCMSで作ったサイトでも、トラッキングコードを入れていれば条件に使えます。「このページを追跡する」といった事前の登録が不要なので、あとから「あのページを見た人に案内を送りたい」と思い立ったときに、すぐセグメントを作れるのが大きな魅力です。
※対象になるのは、フォーム送信などでコンタクトとして特定できている人です。フォーム送信前の閲覧履歴も、登録後にひも付けられます。また、ページビューを条件にしたセグメントはMarketing Hub Professional以上で利用できます。
見込み客との関係を育てる中心になるのがマーケティングメールとワークフローです。
ワークフローは、「この条件を満たしたら、この処理を自動で行う」という自動化の仕組みです。ワークフローに入る条件を登録条件と呼びます。たとえば次のようなことができます。
また、スマートコンテンツを使うと、同じメールやページでも、見る人のプロパティやセグメントに応じて表示内容を切り替えられます。
※本格的なワークフローはMarketing Hub Professional以上のプランで利用できます。
育てた見込み客を、適切なタイミングで営業に渡すための仕組みがライフサイクルステージです。コンタクトが今どの段階にいるかを、HubSpot標準の共通ルールで表します。
この基準をマーケと営業で揃えておくと、「どこからが営業の担当か」で揉めることがなくなります。営業側の対応状況はリードステータス(新規、対応中、接続済みなど)で管理します。
MQLの判断にはリードスコアリングが役立ちます。役職や業種などの「属性がどれだけ合っているか(フィット)」と、メールやWebでの「行動がどれだけ活発か(エンゲージメント)」を点数化し、一定の点数を超えたら営業に通知する、といった運用ができます。
施策の結果は、レポートとダッシュボードで確認します。テンプレートが豊富に用意されていて、すぐに使い始められるのがHubSpotの強みです。詳しくは第4回でご紹介します。
HubSpot独特の考え方として、マーケティングコンタクトと非マーケティングコンタクトの区分があります。
「名刺データを全部入れたら、想定より料金が上がってしまった」というのは導入時によくあるつまずきです。配信する人だけをマーケティングコンタクトにする設計がポイントです。
SalesforceやAccount Engagement(旧Pardot)をお使いの方向けに、近い意味の用語を並べました。考え方が近いものも多いので、置き換えて読むと理解が早まります。
| Salesforce / Account Engagement | HubSpot |
|---|---|
| 項目 | プロパティ |
| プロスペクト | コンタクト |
| 取引先 | 会社 |
| 商談 | 取引 |
| リスト(動的リスト/静的リスト) | セグメント(アクティブ/静的) |
| Engagement Studio、オートメーションルール | ワークフロー |
| スコア/グレード | リードスコア(エンゲージメント/フィット) |
| 活動履歴 | アクティビティ |
※機能の範囲や細かな挙動は製品ごとに異なります。あくまで理解の目安としてご覧ください。
HubSpotのMAは、「集める→ためる→分ける→育てる→渡す→測る」の流れで動いています。そしてその土台になっているのがプロパティです。どんな情報をプロパティとしてためるかを最初に考えておくことが、HubSpotを使いこなす一番の近道です。
次回は、HubSpotが「専任のMA担当者がいなくても回せる」と言われる理由を、画面の使いやすさやプランの選び方とあわせてご紹介します。