GA4(Google アナリティクス 4)とは、Googleが提供するアクセス解析ツール「Google アナリティクス」の現行バージョンです。Webサイトやアプリを訪れたユーザーが、どのページを見たか、どこから訪れたか、どのような行動をしたかなどを計測・分析できます。
一方で、アクセス解析ツールを導入したからといって、データを十分に活用できるとは限りません。
総務省の「令和7年 通信利用動向調査報告書(企業編)」では、デジタルデータの収集・解析のためのシステムやサービスを導入している企業のうち、83.1%が効果を実感している一方、12.3%は「効果はよく分からない」と回答しています(n=738)。
(出典:総務省「令和7年 通信利用動向調査報告書(企業編)」)
GA4についても同じです。PVやセッション数を毎月確認していても、「その数字から何を判断すればよいのか」が決まっていなければ、アクセス解析は単なる数字の報告で終わってしまいます。
特にBtoBサイトでは、アクセス数そのものを増やすことだけが目的ではありません。問い合わせや資料ダウンロード、その手前の行動を把握し、Webサイトの改善やマーケティング施策の判断につなげることが重要です。
本記事では、GA4とは何か、UAとの違い、GA4でできること・できないこと、最初に確認したい5つの指標を初心者向けに解説します。さらに、アクセス数がそれほど多くないBtoBサイトでもGA4を使う意味について、マーケティングの視点から整理します。
「Google アナリティクスとGA4は別のツールなのか」と混同されることがありますが、別物ではありません。Google アナリティクスというアクセス解析サービスの現行バージョンがGA4(Google アナリティクス 4)です。
GoogleはGA4について、Webサイトとアプリの両方から「イベントベース」のデータを収集する仕組みと説明しています(Googleアナリティクスヘルプ「次世代のアナリティクス、Google アナリティクス のご紹介」)。従来のUA(ユニバーサル アナリティクス)の標準プロパティは2023年7月1日に新しいデータの処理を停止しており、現在Google アナリティクスで新たに計測を行う場合はGA4を使用します。
GA4を理解するうえで重要なのは、単にアクセス数を集計するためのツールではなく、サイトやアプリ上で起きたユーザーの行動を記録・分析するツールだという点です。
たとえば、ページの表示だけでなく、リンクのクリックやファイルのダウンロード、購入などの行動も「イベント」として計測できます(Googleアナリティクスヘルプ「イベントについて」)。
BtoBサイトであれば、単に「今月は何PVだったか」を確認するだけでなく、「問い合わせや資料ダウンロードに至るまでに、どのページが見られているのか」といった、商談や問い合わせにつながる手前の行動を考えるためのデータとして活用できます。
ただし、GA4を見るだけで「なぜユーザーがその行動をしたのか」まで自動的にわかるわけではありません。GA4が記録する事実をもとに、Webサイトの改善やマーケティング施策について仮説を立てることが重要です。
GA4を使い始めると、「Google Search Console」や「Google タグ マネージャー(GTM)」といったGoogleのツールも目にするようになります。それぞれ役割が異なるため、最初に整理しておきましょう。
| ツール | 主な役割 | GA4との違い |
| Google アナリティクス(GA4) | Webサイトやアプリ内の行動を分析する | サイト訪問後の行動を中心に分析する |
| Google Search Console | Google検索での表示・クリックなどを確認する | 主にGoogle検索からサイトへ訪れるまでを分析する |
| Google タグ マネージャー(GTM) | 計測用のタグを管理・配信する | GA4などへデータを送るためのタグを管理する |
Google Search Consoleでは、Google検索におけるサイトの表示回数、クリック数、掲載順位などを確認できます(Google Search Consoleヘルプ「検索パフォーマンス レポート(検索結果): 概要と基本設定」)。一方、GA4ではサイトを訪れた後のページ閲覧や行動を分析します。そのため、Search Console=「サイトに来るまで」、GA4=「サイトに来てから」と整理すると、役割を理解しやすくなります。
GTMはさらに役割が異なります。GTMは、Webサイトやアプリに設置するトラッキングコードなどの「タグ」を管理するシステムです(Googleタグマネージャーヘルプ「タグ マネージャーの概要」)。たとえばGA4で特定のクリックやフォーム送信を計測したい場合、そのためのタグをGTMから設定することがあります。つまり、GTMは計測の仕組みを管理する側、GA4は集まったデータを記録・分析する側という関係です。
UA(ユニバーサル アナリティクス)とGA4の大きな違いは、データをどのような単位で記録・分析するかにあります。
GoogleはGA4について、従来のセッションベースではなく、イベントベースのデータモデルを採用していると説明しています。UAでもページビューだけでなく、イベントやeコマースなどさまざまな行動を計測できました。ただし、ユーザーの一連の行動を「セッション」というまとまりの中で捉える設計が基本でした。
| 比較項目 | UA | GA4 |
| データモデル | セッションを軸に複数のヒットをまとめて分析 | イベントを基本単位として記録・分析 |
| ページ閲覧 | ページビューとして計測 | page_viewイベントとして計測 |
| ユーザー行動 | ページビュー、イベントなど種類ごとに計測 | 閲覧・クリック・購入などをイベントとして統一的に計測 |
| Web・アプリ | 基本的に別々に計測 | Webとアプリのデータを同じ考え方で計測可能 |
| 分析の考え方 | 訪問単位の分析が中心 | ユーザーの行動やそのつながりを分析しやすい |
UAでは、ユーザーがサイトを訪れてから離れるまでの一連の行動を「セッション」としてまとめ、その中でページビューやイベントなどを計測していました。
たとえば、あるユーザーが「トップページを見る → サービスページを見る → 資料をダウンロードする」という行動をした場合、UAでは1回のセッションの中に、ページビューやイベントなど複数のデータが記録されるイメージです。
ただし、「UA=ページビューしか見られない」という意味ではありません。UAにもイベント計測はあり、クリックや動画再生などを計測することができました。
GA4では、Webサイトやアプリで起きるさまざまな行動を「イベント」という共通の形式で記録します。ページの表示も「page_view」というイベントのひとつです。
そのほかにも、リンクのクリック、ファイルのダウンロード、購入などをイベントとして計測できます。BtoBサイトであれば、「サービスページを見る → 導入事例を見る → 料金ページを見る → 資料をダウンロードする」といった各行動をイベントとして記録し、探索などを使って行動の流れを分析できます。
「UAはページを数えるツール、GA4は行動を見るツール」と表現すると直感的にはわかりやすいものの、厳密にはUAもユーザー行動を計測していました。本記事では、UAはセッションを軸に複数のデータを捉える設計、GA4はイベントを基本単位として行動を捉える設計と理解しておくことをおすすめします。
UAからGA4へ切り替えた際に、「以前とユーザー数やセッション数が合わない」と感じることがあります。これは必ずしも計測ミスとは限りません。UAとGA4ではデータモデルだけでなく、ユーザーやセッションの算出方法などにも違いがあるためです。
たとえばGA4のレポートでは「アクティブ ユーザー」が中心的なユーザー指標として使われます。一方、UAでは「合計ユーザー」を中心に見ていたため、同じ期間を比較してもユーザー数に差が出ることがあります。セッションについても算出方法が異なるため、UAの数値とGA4の数値を単純に並べて比較するのではなく、それぞれの指標の定義を理解したうえで見ることが重要です。
(出典:Googleアナリティクスヘルプ「[UA→GA4] 移行の参考情報」)
参考:Google アナリティクス ヘルプ「[GA4] ユーザー数の誤差」
参考:Google アナリティクス ヘルプ「[UA] ユニバーサル アナリティクスでのウェブ セッションの算出方法」
GA4では、Webサイトやアプリを訪れたユーザーについて、「どこから来たのか」「どのページを見たのか」「何をしたのか」「成果につながる行動をしたのか」などを確認できます。
| GA4で確認できること | 具体例 |
| アクセス状況・閲覧ページ | 何人が訪れたか、何回訪問されたか、どのページが見られたか |
| 流入元 | Google検索、広告、他サイト、SNS、メールなど、どこから訪れたか |
| サイト内での行動 | クリック、スクロール、ファイルのダウンロードなど |
| 成果につながる行動 | 問い合わせ、資料請求、購入など |
GA4では、サイトやアプリを利用したユーザー数やセッション数、ページ・スクリーンの表示回数などを確認できます。そのため、どれくらいのユーザーがサイトを利用しているか、何回訪問されているか、どのページがよく見られているかといった基本的なアクセス状況を把握できます。
ただし、「多く見られている=成果に貢献している」とは限りません。たとえば、ブログ記事の表示回数が多くても問い合わせにはつながっていない一方、閲覧数の少ない料金ページから複数の問い合わせが発生していることもあります。そのため、表示回数だけでなく、その後にどのような行動が起きているかまで確認することが重要です。
(出典:GA4「トラフィック獲得レポート」)
GA4では、ユーザーがどのような経路からサイトを訪れたのかを分析できます。たとえば、Googleなどの自然検索、Google 広告などの有料広告、他のWebサイトからのリンク、SNS、メール、URLの直接入力などです。
BtoBサイトであれば、「自然検索からのアクセスは多いものの問い合わせにはあまりつながっていない。一方、メルマガ経由のアクセスは少なくても資料請求につながっている」といった違いを見ることで、アクセス数だけでなく、どの集客施策が成果につながっているかを考える材料になります。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「トラフィック獲得レポート」
(出典:GA4「イベントレポート」)
GA4では、ユーザーのさまざまな行動を「イベント」として記録できます。
GA4には、自動的に収集されるイベントのほか、拡張計測機能で収集できるイベント、Googleが用途ごとに推奨するイベント、独自に設定するカスタムイベントがあります。ただし、「GA4とは」を理解する段階では、さまざまなユーザー行動をイベントとして計測できると理解しておけば十分です。
GA4では、イベントの中から、ビジネスにとって特に重要な行動を「キーイベント」として設定できます。BtoBサイトであれば、問い合わせ、資料請求、セミナー申し込み、見積もり依頼などが候補になります。
そのため、「今月は5,000PVだった」というアクセス量だけでなく、「資料請求や問い合わせが何件発生したか」という、より事業成果に近い視点でサイトを見ることができます。
なお、以前のGA4ではこうした重要な行動を「コンバージョン」と呼んでいましたが、現在は「キーイベント」という名称が使われています。
GA4はGoogle 広告と連携し、広告から訪れたユーザーがサイト上でどのような行動をしたのかを分析することもできます。ただし、広告効果を判断するときは、GA4だけでなく広告費、CPA、ROASなど媒体側の指標もあわせて確認することが重要です。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「Google 広告をGoogle アナリティクスに接続する」
GA4では、ユーザーがどこから訪れ、どのページを見て、どのような行動をしたのかを詳しく確認できます。ただし、GA4を導入すればWebマーケティングに必要なことがすべてわかるわけではありません。
GA4が得意なのは、「何が起きたのか」をデータとして記録することです。一方で、「なぜその行動が起きたのか」「その後、商談や受注につながったのか」といったことは、GA4だけでは十分に把握できません。
| GA4で確認できる | GA4だけではわからない |
| どのページが見られたか | なぜそのページを見たのか |
| どこから訪れたか | なぜその流入経路を選んだのか |
| クリックや資料DLが発生したか | その行動をした人が誰なのか(氏名・企業名) |
| 問い合わせなどのキーイベントが発生したか | その後、商談・受注につながったか |
| ユーザー行動の傾向 | どの改善施策が適切か |
GA4からわかるのは、基本的にユーザーが起こした行動です。たとえば、料金ページを閲覧した後に資料をダウンロードしたといった行動は分析できます。しかし、なぜその行動をしたのかまではわかりません。
しかし、そのユーザーが、すでに導入を前向きに検討していたのか、上司から比較調査を頼まれていたのか、単に情報収集をしていただけなのかまでは、行動データだけから断定できません。
たとえば「料金ページの閲覧数が減った」というデータがあったとしても、それだけで「料金ページを改善すべき」と結論づけることはできません。流入数が減ったのかもしれませんし、料金ページへ進む前のサービスページに問題があるのかもしれません。あるいは、ターゲットではないユーザーからのアクセスが減ったことで、むしろサイトの質が上がっている可能性もあります。
GA4の数字は答えそのものではなく、仮説を立てるための材料と考えることが重要です。
BtoBサイトでは、「この料金ページを見ているのは、どの会社なのか」を知りたくなる場面もあります。しかし、通常のGA4のレポートを見ても、サイトを閲覧したユーザーの氏名や企業名が表示されるわけではありません。Google アナリティクスでは、氏名やメールアドレス、電話番号などの個人を特定できる情報(PII)を、そのままの形で送信することが禁止されています。なお、GA4には「ユーザー提供データの収集」という機能があり、ユーザーが同意のうえで入力したメールアドレスなどをハッシュ化して送ることはできますが、これはGoogle側で広告の計測精度を高めるために使われるもので、レポート上に個人の氏名や連絡先が表示されるようになるわけではありません。
GA4には、企業側で発行したIDを使ってユーザーの行動を複数のセッションやデバイスにまたがって把握する「User-ID」という機能もあります。ただし、これはGA4が自動的に「このユーザーは○○さん」と特定してくれる機能ではありません。自社側でIDを発行し、適切に実装する必要があります。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「個人を特定できる情報(PII)」
BtoBマーケティングでは、問い合わせが最終成果とは限りません。たとえば、「広告 → Webサイト訪問 → 資料ダウンロード → 商談 → 受注」という流れがあった場合、GA4が得意なのは主にWebサイト上の行動までです。
商談金額や受注金額、失注理由などは、多くの場合SalesforceなどのCRM/SFA側に保存されています。そのため、GA4の標準的な計測だけで「このアクセスが500万円の受注につながった」と自動的に判断できるわけではありません。
ただし、「GA4とCRMは絶対に連携できない」という意味でもありません。Google アナリティクスには外部データを取り込む「データ インポート」があり、CRMなどのオフラインデータとGA4のイベントデータを組み合わせることもできます。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「データ インポートについて」
もうひとつ重要なのが、GA4には数字が表示されても、改善策まで自動的に決まるわけではないという点です。
というデータがあったとしても、コンテンツを増やすべきなのか、CTAを変更すべきなのか、ページ構成を変えるべきなのか、そもそも流入しているユーザーがターゲットと合っていないのかを判断するには、GA4以外の情報も必要です。
Search Consoleの検索キーワード、広告データ、問い合わせ内容、営業担当者へのヒアリング、ユーザー調査などを組み合わせて原因を考える必要があります。アクセス解析で重要なのは、数字を見ることではなく、数字から仮説を立て、施策を実行し、その結果を再びデータで確かめることです。
GA4には多くの指標がありますが、最初からすべてを理解する必要はありません。まずは、次の5つを押さえると、「どれくらい利用されているか」「どの程度しっかり見られているか」「成果につながっているか」という基本的な状態をつかみやすくなります。
| 指標 | 何がわかるか |
| ユーザー | サイトを利用した人の規模 |
| セッション | サイトへの訪問回数 |
| 表示回数 | ページが見られた回数 |
| エンゲージメント率 | 一定以上の関与があった訪問の割合 |
| キーイベント | 問い合わせなど重要な行動が発生した回数 |
「ユーザー」は、サイトやアプリを利用したユーザー数を表す指標です。ただしGA4には、「合計ユーザー数」「アクティブ ユーザー数」「新規ユーザー数」など、複数のユーザー指標があります。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「ユーザーに関する指標を理解する」
GA4の標準レポートでは「ユーザー」と表示されていても、実際にはアクティブユーザーを指している場合があります。初心者のうちは細かな違いをすべて暗記する必要はありません。まずは、自社サイトを利用している人の規模を見る指標と捉えておけばよいでしょう。
ただし、月間ユーザー数が増えているからといって、それだけでWebサイトが成果を出しているとは限りません。ターゲットではないユーザーが増えている可能性もあるため、後述するキーイベントなどと組み合わせて見ることが重要です。
「セッション」は、ユーザーがWebサイトやアプリを利用した一連の行動のまとまりです。Googleは、セッションを特定の期間内にWebサイトまたはアプリで発生した一連のユーザーインタラクションと説明しています。標準設定では、30分間操作がないとセッションが終了します。
たとえば、1人のユーザーが朝にサイトを訪れ、その日の夕方に再び訪れた場合、ユーザー数は1でも、セッション数は複数になることがあります。ユーザー=何人くらい利用したか、セッション=何回くらい訪問されたか、と整理するとわかりやすいでしょう。
BtoBサイトの場合、検討期間が長く、同じユーザーが複数回サイトを訪れることもあります。そのため、ユーザー数だけでなくセッション数を見ることで、再訪を含めたサイト利用の規模を把握できます。
「表示回数(Views)」は、Webページまたはアプリ画面が表示された回数です。同じユーザーが同じページを複数回見た場合も、その都度カウントされます。UA時代の「ページビュー(PV)」に近い感覚で利用できる指標です。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「ページとスクリーンのレポート」
サービスページ、導入事例、料金ページ、ブログ記事などの表示回数を比べることで、「どのコンテンツがよく見られているか」を把握できます。ただし、表示回数が多いページが、必ずしも成果に貢献しているとは限りません。
たとえばブログ記事が1万回見られていても問い合わせがほとんど発生していない一方で、料金ページは300回しか見られていなくても複数の問い合わせにつながっている、ということもあります。「たくさん見られたか」だけでなく、「その後に何が起きたか」まで見ることが重要です。
エンゲージメント率は、GA4を理解するうえで重要な指標のひとつです。Googleは「エンゲージメントのあったセッション」を、次のいずれかに該当するセッションと定義しています。
そして、全セッションのうち、こうした「エンゲージメントのあったセッション」が占める割合がエンゲージメント率です。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「エンゲージメント率と直帰率」
ただし、エンゲージメント率が高ければ無条件に良い、低ければ悪いという指標ではありません。たとえば、電話番号や営業時間、アクセス情報など、1ページを短時間で見れば目的を達成できるページでは、そこから離脱してもエンゲージメントのあったセッションにはカウントされません。一方、記事のようにじっくり読んでもらいたいページや、複数ページを回遊してほしいサービスページでは、エンゲージメント率の低さが課題を示している可能性があります。そのため、サイト全体の平均値だけを見るのではなく、ランディングページの役割や流入元とあわせて判断することが大切です。
最後に、BtoBサイトで特に重視したいのが「キーイベント」です。GA4ではさまざまなユーザー行動をイベントとして記録し、その中から、ビジネスにとって重要な行動をキーイベントとして設定できます。
GA4を使い始めたばかりの企業では、ユーザー数やセッション数、PVだけを月次報告しているケースもあります。しかし、マーケティング施策を評価するのであれば、「どれだけ訪問されたか」だけでなく、「その訪問から、どれだけ成果につながる行動が生まれたか」まで見ることが重要です。
たとえば、セッション数が3,000から3,300へ10%増えただけでは、Webサイトが事業に貢献したかは判断できません。一方で、セッション数3,300、資料ダウンロード18件、問い合わせ6件まで確認できれば、サイト上で何が起きたのかを一段深く考えられます。
出典:Google アナリティクス ヘルプ「キーイベントについて」
ここまで5つの指標を紹介しましたが、最も重要なのは、1つの数字だけで良し悪しを判断しないことです。
たとえば、ユーザー数が増えたという事実だけでは、それが成果につながっているかはわかりません。そこで、「ユーザー数は増えた → セッション数も増えた → サービスページの表示回数も増えた → しかしキーイベントは増えていない」というように複数の指標をつなげて見ると、「アクセスを増やすことより、サイト訪問後の導線に課題があるのではないか」という仮説を立てられます。
逆にアクセス数は横ばいでもキーイベントが増えていれば、サイト改善によって成果につながる割合が高まっている可能性があります。GA4を見る目的は、数字を報告することではなく、数字の変化から次に確認すべきことを見つけることです。
「自社サイトは月に数百セッション程度しかないので、GA4で分析しても意味がないのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、BtoBサイトでは、アクセス数の多さだけでGA4の価値を判断する必要はありません。むしろ重要なのは、限られたアクセスの中で、問い合わせや商談につながる行動がどのように起きているかを見ることです。
BtoBの購買は、ひとりの担当者だけで完結するとは限りません。Gartnerが2024年に632人のBtoB購買担当者を対象に実施した調査では、BtoBの購買グループは5~16人、最大4つの部門にまたがると報告されています。購買メンバーによって立場や重視するポイントが異なるため、社内で合意形成しながら検討が進んでいきます。
また、McKinseyが13か国、約4,000人のBtoB意思決定者を対象に実施した2024年の調査では、購買プロセスの各段階で「対面」「リモート」「デジタルセルフサービス」を希望する人が、おおむね3分の1ずつ存在するという結果が示されています。Webサイトをはじめとするデジタル接点は、BtoBの購買活動においても重要な役割を担っています。
たとえばサービスを検討する際、実務担当者は機能や導入事例を確認し、管理職は費用や導入効果を確認し、情報システム部門はセキュリティやシステム要件を確認する、といったことがあります。こうした検討がWebサイト上で行われる以上、単純なアクセス数だけでなく、どの情報が見られ、どのような行動につながっているかを把握することには意味があります。
アクセスが少ないサイトほど注意したいのが、前月比などの増減率だけで成果を判断することです。たとえば月300セッション程度のサイトでは、数十セッションの増減でも前月比は大きく動きます。営業日数、展示会やメール配信、特定の記事の一時的な流入など、一つの要因によって全体の数値が変わることもあります。
そのため、「セッション数が前月比20%増えたから好調」と判断するだけでは、実際にマーケティング成果が改善したかはわかりません。BtoBサイトでは、アクセス数の増減とあわせて、「サービスページや導入事例が見られているか → 料金・仕様など検討度の高いページへ進んでいるか → 資料ダウンロードや問い合わせなどのキーイベントが発生しているか」というように、成果に近づく行動を確認することが重要です。
ここでいう「丁寧に見る」とは、GA4で一人ひとりの氏名や企業を特定して追跡するという意味ではありません。GA4では通常、アクセスした人の氏名や企業名まではわかりません。
見るべきなのは、たとえば、「導入事例の閲覧が増えた → サービスページへの遷移も増えた → 資料ダウンロードが発生した」といったサイト全体で起きている重要な行動や、その変化です。
アクセス数の多いメディアサイトであれば、数万件の閲覧データから全体傾向を捉える分析が中心になるでしょう。一方、月数百~数千セッション程度のBtoBサイトでは、問い合わせが数件増えただけでも事業への影響は小さくありません。アクセスの絶対数ではなく、その中にどれだけ成果につながる行動が含まれているかを見ることが大切です。
GA4を見る際には、アクセスの「量」と「質」を分けて考えるとわかりやすくなります。たとえば、次の2か月があったとします。
| A月 | B月 | |
| セッション数 | 500 | 450 |
| サービスページ閲覧 | 120 | 150 |
| 資料ダウンロード | 3 | 7 |
| 問い合わせ | 1 | 3 |
セッションだけを見れば、B月はA月より減っています。しかし、サービスページの閲覧や資料ダウンロード、問い合わせは増えています。この場合、「アクセスが減ったので悪化した」と評価するより、「アクセスの量は減ったものの、検討度の高い行動は増えている」と捉えたほうが、サイトの状態を正確に理解できます。
もちろん、このデータだけで「改善に成功した」と断定することはできません。流入元の変化や施策内容など、ほかの情報と合わせて原因を検証する必要があります。ただ、こうした変化に気づけることこそ、GA4を使う意味のひとつです。
BtoBサイトでは、「何人来たか」だけでなく、「来た人が何をしたか」まで見る。アクセス数が少ないサイトほど、この視点を持つことが重要です。
GA4でアクセス解析を始めるには、Webサイトからデータを収集できる状態にし、自社にとって重要な行動を計測できるように設定する必要があります。大まかな流れは次のとおりです。
Google公式でも、新しいWebサイトでGA4を利用する基本的な流れとして、プロパティの作成、データストリームの追加、Google タグなどによるデータ収集の設定が案内されています。
まず、Google アナリティクス上にデータを管理する「プロパティ」を作成し、計測するWebサイトの「データストリーム」を設定します。その後、Google タグをWebサイトに設置して、GA4へデータを送信できる状態にします。Google タグ マネージャー(GTM)を利用して設定することもできますが、GA4を利用するためにGTMが必須というわけではありません。
データを取得できるようになったら、必要に応じてクリックやファイルダウンロードなどのイベントを設定します。問い合わせや資料請求など、事業上特に重要な行動は「キーイベント」として設定します。
ここで重要なのは、設定を始める前に「自社サイトでは何を成果として計測するのか」を決めておくことです。多くのデータを取得しても、評価する指標が決まっていなければ、マーケティング上の判断にはつながりにくくなります。
最後に、設定したデータが正しく取得できているか確認してから分析を始めます。たとえば、問い合わせが計測されていない、同じタグが重複しているといった状態では、その後の分析結果にも影響します。
GA4を導入する目的は、アクセスデータを貯めることではありません。
計測する → 数字を見る → 仮説を立てる → 改善する → 結果を確認する
というサイクルを回すことで、データをマーケティングの判断材料として活用できます。まずは前章で紹介した「ユーザー」「セッション」「表示回数」「エンゲージメント率」「キーイベント」の5つから、自社サイトの状態を確認してみましょう。
はい。通常のGA4プロパティは無料で利用できます。一方で、大規模な企業向けには有料版の「Google Analytics 360」も用意されています。360では、データ収集、レポート、データ保持、BigQueryへのエクスポートなどで、標準版より高い上限が設定されています。一般的な企業サイトであれば、まずは無料の標準版から始めるケースが多いでしょう。
参考:Google Marketing Platform「Google アナリティクス」
参考:Google アナリティクス ヘルプ「Google アナリティクス 360」
別のサービスではありません。Google アナリティクスというアクセス解析サービスの現行バージョンがGA4(Google アナリティクス 4)です。旧バージョンとしてUA(ユニバーサル アナリティクス)がありましたが、現在はGA4がGoogle アナリティクスの中心となっています。
新しいアクセスデータをUAで計測することはできません。標準のUAプロパティは2023年7月1日に新しいデータの処理を停止しました。Google Analytics 360のUAプロパティについても、2024年7月1日に処理が停止しています。そのため、現在Google アナリティクスでWebサイトやアプリを計測する場合は、GA4を利用します。
参考:Google アナリティクス ヘルプ「Google アナリティクス 4のご紹介」
なお、UAとGA4では計測方法や指標の定義が異なるため、過去のUAデータと現在のGA4データを単純に連続した数値として比較する際には注意が必要です。
通常のGA4のレポートを見ても、訪問者の氏名や企業名が表示されるわけではありません。Google アナリティクスでは、氏名やメールアドレスなどの個人を特定できる情報を、そのままの形で送信することが禁止されています。
GA4には「User-ID」という機能があり、自社で生成したIDを使って、複数のセッションやデバイスにまたがるユーザー行動を関連付けることはできます。ただし、GA4が自動的にユーザーの実名を特定する機能ではありません。BtoBサイトでも、「どの企業が料金ページを見たか」をGA4だけで特定できるわけではない点には注意が必要です。
まずは「レポート」で、「ユーザー」「セッション」「表示回数」「エンゲージメント率」「キーイベント」の5つの指標を確認するとよいでしょう。最初から「探索」などの高度な機能を使いこなす必要はありません。
「どれくらい利用されているか → どのページが見られているか → 問い合わせなどの重要な行動が発生しているか」という順にサイト全体の状態を確認し、気になる変化があったところから詳しく分析していくと理解しやすくなります。
GA4は、Google アナリティクスの現行バージョンで、Webサイトやアプリ上で起きたユーザーの行動をイベントとして計測・分析するツールです。UAとはデータの捉え方が異なり、GA4ではページ閲覧だけでなく、クリックやファイルのダウンロード、問い合わせなど、さまざまな行動を共通の「イベント」という考え方で記録します。この記事でご紹介したポイントをまとめると以下のとおりです。
GA4には多くのレポートや指標がありますが、最初からすべてを使いこなす必要はありません。まずは、「どれくらいのユーザーが訪れているか → どのページが見られているか → どのような行動が起きているか → 問い合わせなどの成果につながっているか」という流れで確認すると、自社サイトの状態を捉えやすくなります。
そして、GA4を活用するうえで最も重要なのは、数字そのものではありません。冒頭で紹介した総務省の調査からも、デジタルデータを収集・解析する仕組みを導入することと、その効果を把握することは別の課題であることがわかります。
データを集めることと、そのデータを判断に使えることは別の問題です。
「PVが増えた」「セッションが減った」という報告で終わるのではなく、なぜこの数字が変化したのか、どこに課題がありそうか、次に何を確認・改善するべきかを考えるための材料としてGA4を使うことで、アクセス解析はマーケティング施策の改善につながります。
GA4は導入しているものの、次のような課題はありませんか。
ビズブーストでは、GA4の設定やアクセス解析だけでなく、Webサイトのデータをマーケティングや営業の判断にどうつなげるかという視点からご支援しています。
「何を計測すべきか」「どの数字を見るべきか」「次にどこを改善すべきか」といったところから整理したい場合も、お気軽にご相談ください。