コラム|ビズブースト株式会社

カスタマーサクセス×インサイドセールス連携|人材不足を補う商談創出スキーム

作成者: ビズブースト編集部|Oct 9, 2025 12:10:43 PM

インサイドセールス部門の人材不足に、頭を悩ませていませんか?

SaaS・クラウドサービスを提供する貴社にとって、インサイドセールスの内製化は事業成長の要です。しかし、専門性の高いインサイドセールス担当者の確保は容易ではなく、多くのITSaaS企業が「リードはあっても、商談が生まれない」「商談創出が特定メンバーに依存している」といった、不安定な状況に直面しています。

特に、100名~500名規模の中堅企業では、大手企業のような潤沢な採用予算や人員を確保するのが難しく、インサイドセールスのリソース不足は事業成長を阻害する深刻な課題となり得ます。

しかし、この課題解決のヒントは、意外にも社内の別の部門に隠されています。それは、日々お客様と向き合い、関係性を深めている「カスタマーサクセス部門」です。

本記事では、インサイドセールス人材が不足しているITSaaS企業向けに、カスタマーサクセスと連携することで商談を創出し、組織全体の営業力を底上げする具体的な方法をお伝えします。これは、限られたリソースで最大限の成果を出したいと考える、カスタマーサクセス部門のマネージャーにとって、組織変革の鍵となる内容です。

目次

  1. なぜ今、インサイドセールス人材の不足が深刻化しているのか?
  2. カスタマーサクセスとの連携がもたらす「商談創出の新しいカタチ」
  3. マネージャーとして設計すべき連携スキームのポイント
  4. まとめ:部門横断型アプローチで営業課題を解決する

1. なぜ今、インサイドセールス人材の不足が深刻化しているのか?
 

近年、多くのBtoB企業でインサイドセールス部門の内製化が進んでいます。これは、リード獲得から商談創出までをインサイドセールスが担うことで、営業活動の効率化や質の向上が期待できるためです。しかし、その一方で、特に中堅規模の企業では以下のような構造的な問題も顕在化しています。

  • 不安定な商談創出と限定的な稼働

インサイドセールスは、マーケティングリードを効率的に商談へと転換する重要な役割を担います。しかし、専門的なスキル(ヒアリング力、課題特定力、提案力など)が求められるため、育成には時間がかかり、一人前になるまでに多くの工数を要します。加えて、労働市場におけるインサイドセールス人材の獲得競争は激化しており、慢性的な人材不足に陥りやすい傾向があります。これにより、商談創出のペースが安定せず、事業成長のボトルネックになるリスクを常に抱えています。

  • マーケティング起点リードの限界

多くの企業では、Webサイトからの問い合わせや資料ダウンロードといった、マーケティング部門が獲得するリードに依存して商談を創出しています。新規顧客開拓においてこれらのリードは非常に重要ですが、量や質には限界があります。ターゲットとする市場が飽和したり、競合の参入でリード獲得単価が高騰したりすると、安定的な商談数を確保することが困難になります。また、顕在的なニーズを持つリードばかりではないため、多くの時間をかけても商談化に至らないケースも少なくありません。

  • カスタマーサクセス部門に「眠る商談の種」

一方、カスタマーサクセス部門は、SaaS・クラウドサービスの特性上、既存顧客と最も深い接点を持つ存在です。利用状況の確認、課題解決のサポート、新機能の紹介などを通じて、導入後のニーズの変化、組織体制の変更、別部署での活用可能性など、貴重な情報を日々キャッチしています。これらは、インサイドセールスがゼロから探すには難しい、極めて精度の高い「商談の種」となり得ますが、多くの企業でこれらの情報が活用されず、組織の貴重な財産が「眠ったまま」になっているのが現状です。

2. カスタマーサクセスとの連携がもたらす「商談創出の新しいカタチ」

限られたリソースで営業成果を最大化するには、部門間の連携が不可欠です。特に、インサイドセールス人材が不足する中で、カスタマーサクセスが営業貢献する組織へと進化することは、貴社のビジネスモデルに大きな変革をもたらします。インサイドセールスとカスタマーサクセスが連携することで、以下のような相乗効果が期待できます。

1. 顧客の「違和感検知力」が商談の糸口になる

インサイドセールスは主に新規顧客との接点を持つため、「導入前の課題」を起点に商談を組み立てることが多いです。一方、カスタマーサクセスは、サービスの利用状況を深く理解し、顧客との強固な関係性を築いています。この「関係性」こそが、商談創出の新たな武器となります。

カスタマーサクセスメンバーは、定期的なミーティングやカジュアルなチャットを通じて、顧客のささいな変化や違和感をいち早く察知できます。

  • 「〇〇部の利用頻度が急に減っているな。何かトラブルがあったのだろうか?」
  • 「担当者がAさんからBさんに変わったな。組織内で何か動きがあったのだろうか?」
  • 「『実は来期から新サービス導入を検討しているんです』と、雑談で聞いた」

これらの情報は、インサイドセールスがゼロから探すには難しい、極めて精度の高い「商談の種」となります。お客様との信頼関係が深いカスタマーサクセスだからこそ拾える「違和感」は、アップセルやクロスセル、そして新たな商談創出に直結する貴重なシグナルなのです。

2. 低コストかつ高精度のアップセル・クロスセルを実現

新規リードの獲得には、広告費用や人件費など、多大なコストがかかります。また、せっかく獲得したリードも商談化率は決して高くありません。しかし、カスタマーサクセスによる「既存顧客のアップセル・クロスセル」は、すでに築かれた信頼関係を活かせるため、非常に効率的です。

カスタマーサクセスが起点となる商談創出スキームは、新規顧客開拓に比べて圧倒的に低コストです。さらに、顧客の課題や利用状況を深く理解した上で生まれる商談であるため、成約確度も非常に高いという特徴があります。インサイドセールス人材が限られる中で、この「カスタマーサクセス起点のインサイドセールス」モデルを構築することは、貴社の営業生産性を飛躍的に高める選択肢です。

3. 組織全体の営業貢献度を高める

インサイドセールスが人材不足に陥ると、新規商談の供給が滞り、フィールドセールス(外勤営業)のリソースも新規顧客開拓に集中せざるを得なくなります。これにより、既存顧客へのアップセル・クロスセル提案の機会を逃し、結果的にカスタマーサクセスの目標達成にも影響が及びかねません。

カスタマーサクセスが「事業拡大」にも寄与する営業貢献部門として進化することで、インサイドセールスは新規リードに注力し、カスタマーサクセスは既存顧客からの商談創出を担うという、役割補完関係を構築できます。このIS・CS連携により、組織全体としての営業貢献度が高まり、企業としての持続的な成長を実現できるのです

カスタマーサクセスが「事業拡大」にも寄与する営業貢献部門として進化することで、インサイドセールスは新規リードに注力し、カスタマーサクセスは既存顧客からの商談創出を担うという、役割補完関係を構築できます。このIS・CS連携により、組織全体としての営業貢献度が高まり、企業としての持続的な成長を実現できるのです。

3. マネージャーとして設計すべき連携スキームのポイント

カスタマーサクセスとインサイドセールスの連携を成功させるためには、マネージャーが以下3つのポイントを押さえて、仕組みを設計することが不可欠です。

ポイント1:商談創出の「スイッチ基準(トリガー)」を明確化する

「どの情報が商談になるのか」という基準が曖昧だと、カスタマーサクセスメンバーは戸惑ってしまいます。どのような情報が営業連携の「スイッチ」になるのかを、具体的に定義することが重要です。

  • 利用状況の変化: ユーザー数の急増減, 特定機能の利用頻度の変化
  • 組織・人事情報の変化: 担当者の異動や退職, 部署の統合や再編, 決裁権者の交代
  • 事業・戦略の変化: 新たなプロジェクトの立ち上げ, 他社サービスとの比較検討情報, 顧客の事業目標やKPIの変化

このように、具体的な「連携のトリガー」を設けることで、カスタマーサクセスメンバーは迷うことなく、効率的に「機会の芽」を拾えるようになります。これらのトリガーをSFAの入力項目に落とし込むことで、よりスムーズな連携が実現します。

ポイント2:スムーズな連携のための「ナレッジ共有・コミュニケーション」を設計する

せっかく見つけた「商談の種」も、インサイドセールスにうまく伝わらなければ意味がありません。部門間の壁をなくし、シームレスな連携を実現するための設計が不可欠です。

  • SFA(営業支援システム)の情報入力設計

カスタマーサクセスが入力する専用の入力欄やチェックボックス、タグをSFA上に設けることで、営業連携に必要な情報を漏れなく、かつ簡単に共有できます。例えば、「アップセル候補」「クロスセル候補」「組織変更」といった共通タグを設けることで、インサイドセールスは効率的に商談の芽を探し、優先順位付けすることが可能になります。

  • 週次連携会議の実施

カスタマーサクセスとインサイドセールスのマネージャー、またはメンバー間で週に一度、定例会議を設けることを推奨します。この会議では、カスタマーサクセスから「顧客の違和感」や「商談の種」を共有するだけでなく、インサイドセールスからはその情報に対するフィードバックや、過去の成功事例を共有することで、部門間の信頼関係が深まります。

  • 連携専用のチャットツール活用

緊急性の高い情報や、SFAに入力するまでもないカジュアルな情報共有のために、SlackTeamsなどのチャットツールを活用しましょう。「CS商談ネタ」といった専用のチャンネルを設けることで、ちょっとした気づきや顧客情報がリアルタイムに共有され、インサイドセールスがすぐにアクションを起こせるようになります。

ポイント3:カスタマーサクセスメンバーが無理なく「機会の芽」を拾える仕組み化

カスタマーサクセスメンバーのミッションは、あくまで「顧客の成功」です。営業活動に特化したスキルやマインドを持っていなくても、自然と商談の芽を拾えるような仕組みづくりが重要です。

  • 営業提案を目的としないヒアリングフレーズ

「他部署でも同様の課題はないですか?」「御社の組織体制に何か変更はありましたか?」といった、顧客の警戒心を解くような、自然なヒアリングフレーズをカスタマーサクセスチーム全体で共有しましょう。これらのフレーズは「営業行為」ではなく、あくまで「顧客の成功を最大化するためのヒアリング」であることを明確に伝えれば、メンバーも抵抗なく取り組めます。

  • 気づきを拾うためのログの設計

「〇〇という話を聞いた」「△△について相談された」といった、商談に直結するかどうか分からなくても、後から振り返れるようにメモとして残せるようなSFAの運用を推奨します。大切なのは、カスタマーサクセスメンバーに「これは商談になるか?」と判断させるのではなく、「気づいたことを記録するだけでいい」という心理的なハードルを下げることです。そこから先はインサイドセールスが深掘りする流れを作ることが重要です。

4. まとめ:部門横断型アプローチで営業課題を解決する

インサイドセールス部門が抱える人材不足の課題は、マーケティングリードの量と質の限界、そしてカスタマーサクセス部門との連携不足という構造的な問題に起因しています。

しかし、カスタマーサクセス部門が持つ「顧客の成功を追求する視点」と「深い関係性」は、新たな商談を創出する上で、非常に価値の高いリソースです。貴社のカスタマーサクセスは、単なる「既存顧客のサポート役」ではありません。インサイドセールスやフィールドセールスと連携し、事業成長に貢献できる「営業貢献部門」として、その役割を再定義してみてはいかがでしょうか。

限られたリソースの中で営業成果を最大化するには、カスタマーサクセスとインサイドセールスの役割補完関係を設計し直すことが急務です。この「カスタマーサクセス起点のインサイドセールス」という新しいアプローチは、今後のBtoB SaaSビジネスを成功に導くための強力な一手となるでしょう。

人材不足の課題を乗り越え、効率的な営業組織を構築しませんか?

「カスタマーサクセスとの連携スキームをどう設計すればいいか分からない」「インサイドセールス人材がどうしても足りない」といったお悩みがあれば、専門家への相談も一つの選択肢です。

ビズブーストは、デジタルインサイドセールスの立ち上げから運用までを支援するプロフェッショナル集団です。貴社の状況に合わせた最適な組織設計や、インサイドセールスの代行・支援サービスを提供しています。

既存の営業課題を構造的に解決し、持続的に成長する組織を構築したいとお考えのマネージャーの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

貴社のインサイドセールスを「成果を出す組織」へと変革しませんか?

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