BtoBサイト制作を任されたものの、何から手をつければよいか分からない。「BtoBのサイトはBtoCと違う」と聞くが、どう違うのかを自分の言葉で説明できない。そのまま制作会社に見積を取ることに、不安を感じていないでしょうか。
経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)によると、2024年の国内BtoB-EC市場規模は514.4兆円(前年比10.6%増)、EC化率は43.1%に達しています。
企業間取引の4割超がすでに電子経由になっており、貴社の商談相手も、会う前にWebサイトで貴社を調べています。問い合わせが来ないサイトは、その下調べの段階で静かに候補から外れている可能性があります。
令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)
本記事では、BtoBサイトとBtoCサイトの構造的な違いから、必要なページ構成、CVポイントとフォームの設計、制作会社の見極め方、公開後の運用体制までを一つの流れで解説します。
結論を先に述べると、BtoBサイトの成果を決めるのはデザインの新しさではなく、購買プロセスから逆算した構造と、公開後に直し続ける体制です。BtoBのWeb制作を検討している方が、発注前に判断の軸を持てる内容にしています。
「btobサイト制作」と検索した時点で、「BtoCと同じ作り方では駄目らしい」とは感じているはずです。
その直感は正しいのですが、違いはデザインの流行や見た目ではなく、購買の構造にあります。
この章では3つの構造差を、「何が違うのか」だけでなく「だからサイトのどこが変わるのか」まで接続して整理します。
この構造差が、以降のページ構成・CVポイント・公開後の体制まで、すべての判断基準になります。
はじめに言葉を揃えます。Webサイトと一口に言っても、役割の異なる種類があります。
| コーポレートサイト | 会社そのものの信頼を確かめてもらう場 |
| サービスサイト | 「営業10〜20名規模で、専任管理者なしの会社の事例はありますか」と具体的に聞く |
| ランディングページ(LPO) | 広告などの受け皿になる、1ページ完結型のページ |
| オウンドメディア | 記事コンテンツで見込み客との接点を作る場 |
本記事で扱う「BtoBサイト」は、主にコーポレートサイトとサービスサイトを指します。実際の制作では「どの器で作るか、分けるか」という選択が設計の入り口にありますが、器が何であれ、BtoBで変わらない構造差があります。
BtoCでは多くの場合、サイトを見る人と買う人と決める人が同じで、気持ちが動けばその場で購入まで進めます。
BtoBでは、サイトを見た人がその場で発注することはまれです。担当者が情報を集め、比較表を作り、稟議を書き、承認を経てようやく発注に至ります。
ご自身の行動を思い出してみてください。個人の買い物ならスマートフォンで見て数分で決めることがあっても、自社の複合機を入れ替えるときは、複数社の資料を集めて上司の承認を取ったはずです。相手も同じ動き方をします。
だからBtoBサイトの仕事は、「その場で買わせること」ではなく「検討を前に進める情報を渡すこと」に変わります。
感情に訴えるビジュアルの優先度は下がり、検討に使える情報の深さの優先度が上がります。
検索して最初にサイトへ来るのは、多くの場合、起案する担当者です。しかしその先には、決裁者・利用部門・情報システム部門がいます。
サイトは「最初の1人」だけでなく、「社内に転送された先」でも読まれます。
そして、それぞれ見る場所が違います。担当者は機能と導入の流れを、決裁者は会社概要と実績を、利用部門は使い勝手を、情報システム部門はセキュリティを見ます。
担当者がURLを役員に転送し、役員は会社概要と実績のページだけを見て判断する、という場面は実際に起こります。
自社が何かを導入したときの稟議で、誰がどの資料のどこを見たかを思い出すと、この構造がよく見えてきます。
だから、1人の読者に刺さる訴求だけでは足りず、関与者ごとに答えを置く構造が必要になります。
BtoBの検討は数週間から数カ月に及びます。読者は検討の初期にサイトで候補を絞り込み、商談で確かめるという順番で動きます。
展示会で名刺交換した相手が、翌週サイトを見てから返信するかどうかを決める、という行動は珍しくありません。
ここで重要なのは、サイトで落ちた場合、商談そのものが発生しないことです。営業は「なぜ声がかからなかったのか」を知ることができません。
候補から静かに外れていくのです。
だからBtoBサイトの仕事は「その場のコンバージョン」よりまず「候補に残ること」であり、出口を「今すぐ問い合わせ」だけにすると検討途中の読者を逃します。この点は後半のCVポイントの章で扱います。
3つの構造差を表にまとめます。
| 観点 | BtoCサイト | BtoBサイト | サイト設計への影響 |
| 購買プロセス | 見る人=買う人。その場で完結しやすい | 比較・稟議・承認を経て発注される | 即決を促す訴求より、検討を前に進める情報の深さ |
| 関与者 | 本人1人で完結することが多い | 担当者・決裁者・利用部門・情報システム部門など複数 | 関与者ごとに答えを置くページ構成 |
| 検討期間 | 短い(その場〜数日) | 数週間〜数カ月 | 商談前の下調べに耐える情報と、検討段階に応じたCV |
「サイトが古いから問い合わせが来ない。デザインを新しくすれば増えるはずだ」。
社内でよく聞く仮説ですが、私たちが支援の現場で見てきた限り、デザインを刷新したのに問い合わせが増えないケースは珍しくありません。
原因をデザインの新旧ではなく「構造」として捉え直していきます。
「古い」は症状の描写であって、原因の特定ではありません。
「なぜ問い合わせが来ないのか」という問いに「古いから」と答えても、「では何をどう直すのか」には答えられていないのです。
デザインの判断が好みに流れることも、この言い換えの延長にあります。役員の「この色は好みではない」という一言でデザイン確認が1カ月止まる、という事態は、判断基準が「誰に何を伝えるためのデザインか」ではなく個人の感覚に置かれているために起こります。
誤解のないように補足すると、デザインが重要ではないという意味ではありません。
デザインは「伝えるための手段」であり、良し悪しは目的への適合で判断するものだ、という視点の転換が必要だということです。
構造の問題の正体は、多くの場合ここにあります。
サイトが「会社案内のデジタル版」、つまり自社が言いたいことの羅列として作られていて、購買プロセスのどこを担う装置なのかが定義されていないのです。
「事業内容」のページはあるのに、「導入までの流れ」や「他社との違い」がどこにもないサイトを思い浮かべてください。
前章で見た関与者たちが商談前の下調べに来ても、確かめたいことへの答えがどこにもありません。
会社の説明としては正しくても、検討を前に進める装置としては働いていない状態です。
この定義が無いまま作り直すと、新しいデザインで同じ構造が再現されます。
デザインを刷新しても問い合わせが増えない理由は、ここにあります。
自社サイトがどちらの状態かは、次の3つの問いで点検できます。
| 1 | 商談前の相手が知りたいこと(選ぶ理由・導入の流れ・実績)が載っているか |
| 2 | 読む人ごと(担当者・決裁者・利用部門)に答えが用意されているか |
| 3 | 読んだ後の次の行動(資料ダウンロード・問い合わせ)が各ページに用意されているか |
点検のやり方は簡単です。スマートフォンで自社サイトを開き、商談相手のつもりで3分間見てください。1つでも答えられない問いがあれば、問題はデザインではなく構造にあります。
なお、点検の結果がそのまま「全面リニューアルすべき」を意味するわけではありません。問題が特定の箇所に限られるなら、部分改修という選択肢もあります。
構造を直す価値は見えてきました。ただ、ここまで読んでも、もう1つの疑念が残っている方は多いのではないでしょうか。「そもそも、うちの商材は検索されない」という諦めです。
「うちの商材はニッチで、検索する人がほとんどいない。だからWebに投資しても意味がない」。
口には出さなくても、この諦めを前提にサイトの優先度を下げている会社は少なくありません。
しかし、サイトの価値は業界キーワードで検索される回数だけでは決まりません。
ここで挙げる3つの経路は、検索流入を増やす施策とは別物で、検索されない商材でも働きます。
業界キーワードで検索されなくても、展示会・紹介・営業接触のあとに、多くの場合、相手は社名や商品名で検索します。
この指名検索は、検索ボリュームの多寡と関係なく発生します。営業活動をしている限り、検索の入り口は自社で作り続けているのです。
たとえば展示会で交換した名刺が500枚あれば、それは500回の指名検索が起こり得るということです(説明のための仮の数字です)。
そのとき受け皿になるのがサイトです。社名で検索した相手が「何の会社か分からない」と感じれば、せっかく営業活動で作った接点がそこで途切れます。
検討中の担当者は、社内説明のために情報を集めます。
稟議や上司への報告に使える情報、つまり導入の流れ・実績・選定理由になる強みがサイトに載っていれば、営業が同席していない社内検討の場でも、検討が前に進みます。サイトは「もう1人の営業」として働くのです。
相見積を取った3社のうち、導入の流れと実績が明記された1社の情報だけが役員会の資料にそのまま使われる、という場面を想像してください。逆に情報が無ければ、前章で述べた「静かに落ちる」が社内検討の場で起こります。
検討中の担当者は、社内説明のために情報を集めます。
稟議や上司への報告に使える情報、つまり導入の流れ・実績・選定理由になる強みがサイトに載っていれば、営業が同席していない社内検討の場でも、検討が前に進みます。サイトは「もう1人の営業」として働くのです。
相見積を取った3社のうち、導入の流れと実績が明記された1社の情報だけが役員会の資料にそのまま使われる、という場面を想像してください。逆に情報が無ければ、前章で述べた「静かに落ちる」が社内検討の場で起こります。
必要なページは、テンプレートの暗記ではなく「誰が・商談前に・何を確かめに来るか」からの逆算で決まります。
この章では、逆算の起点と、基本になる6ページ、そしてサイト構造とSEOの関係を整理します。
ページ構成のテンプレートを先に探すと、テンプレートを埋めること自体が目的になりがちです。
先に言語化すべきは、想定する読み手と、その読み手が確かめに来ることです。前章までの構造差を、自社の商材に当てはめて埋めてみてください。
| 読み手 | 商談前に確かめに来ること |
| 起案する担当者 | 何ができる商材か。導入の流れ。自社の課題に合うか。 |
| 決裁者(役員) | 信頼できる会社か。実績。投資を説明できる材料。 |
| 利用部門 | 現場で使えるか。導入後の負担。 |
| 情報システム部門 | セキュリティ。既存システムとの連携。 |
たとえば製造業でも、産業機械のメーカーであれば「対応可能な仕様・納期・保守体制」が確かめに来ることの中心になります。この整理が決まると、どのページが必要で、どれを優先するかはおのずと決まります。
私たちが支援の現場で見てきた限り、BtoBサイトの基本形は次の6つに集約されます。
重要なのはページ名ではなく、それぞれが「誰の・どの検討段階の疑問」に答えるページなのかという役割です。
| ページ | 主に答える相手 | 答える疑問 | 無いと起きること |
| 製品・サービス情報 | 担当者 何ができるのか | 自社の課題に合うか | 比較の土俵に載らない |
| 導入事例 | 担当者・決裁者 | 似た会社で使われているか。導入後のイメージ。 | 社内説明の材料が無く、稟議が進まない |
| 料金 | 担当者・決裁者 | 予算感に合うか。何で金額が変わるのか。 | 「高そう」と推測され、問い合わせ前に離脱する。 |
| FAQ | 担当者・利用部門・情報システム部門 | 導入前の細かな不安。 | 同じ質問に営業が毎回答え続ける。 |
| 資料ダウンロード | 検討初期の担当者 | 社内共有できる形の情報。 | 検討中の読者との接点を持てない。 |
| 会社概要 | 決裁者 | 信頼できる会社か。 | 与信の場面で候補から外れる。 |
3点補足します。
まず、ここでいう導入事例とは、貴社のサイトに載せる貴社の顧客の事例のことです。事例は「実績の自慢」ではなく、読み手が自社を重ねて検討を進めるための材料なので、業種・規模・課題が分かる形にします。
次に、FAQは「よくある質問」を想像で書くのではなく、営業が商談で毎回聞かれる質問から作ると、商談前の下調べに直接答えるページになります。
最後に、料金ページの論点は金額そのものではなく「価格の決まり方をどう見せるか」の設計です。
目安も出せない場合でも、金額が変わる要因を示すだけで「高そう」という推測での離脱は減らせます。
もう1つ、見落とされがちな段取りがあります。
これらのページの元になる情報のオーナーは、社内で分散しています。製品情報は営業や事業部、会社概要や沿革は経営企画・広報、という具合です。
掲載情報を集めて合意を取る段取りを、制作スケジュールに最初から織り込んでおく必要があります。
「誰に何をどの順で見せるか」が整理されたサイトは、検索エンジンにも内容が伝わりやすく、そのままSEO(検索エンジン最適化)の土台になります。
順番としては構造を整えることが先で、SEOの個別の手法はその上に載ります。SEOの基本と始め方は、別の記事で解説しています。
> BtoB企業のSEOの基本と始め方を解説した記事
ページが揃っても、出口の設計が無ければ商談にはつながりません。
そして検討期間の章で見たとおり、今すぐ問い合わせられる状態の読者は一部です。出口が「問い合わせ」1つだけのサイトは、検討途中の読者との接点を持てません。
ここからは、CV(コンバージョン。サイト上で獲得したい行動)の階段と、フォームの設計、その先の受け皿を整理します。
問い合わせは、比較を終えて話を聞きたい「今すぐ層」向けの出口です。
一方、情報収集の途中にいる「検討中層」には、サービス資料・事例集・ホワイトペーパー(お役立ち資料)のダウンロードや個別相談会といった、負担の軽い中間CVを用意します。この2段構えが、長い検討期間の途中にいる読者を接点に変える仕組みです。
配置は、ページの役割と対応させます。製品・サービスページには資料ダウンロード、事例ページには事例集、料金ページには個別相談、という対応です。
読み終えたページの検討温度に合った次の行動を置く、と考えると迷いません。
フォームの項目を減らせば送信の負担が下がり、件数は増えやすくなります。
ただし1件あたりの情報は薄くなり、その後の対応の負担が増えます。増やせばその逆が起こります。
つまり「何項目が正解か」という問いに一般的な答えはなく、決め手は後工程からの逆算です。
| 判断 | 向く場面 | 引き換えになるもの |
| 項目を絞る | 検討初期の接点を広く取りたい資料ダウンロード | リードの情報が薄くなり、後工程の確認負担が増える |
| 項目を増やす | 商談に直結させたい問い合わせ・個別相談 | 送信のハードルが上がり、件数は減りやすい |
獲得後に営業が電話で追うなら電話番号の項目が要りますし、メールで育てる設計なら必須項目はもっと絞れます。
資料ダウンロードは4項目、問い合わせは7項目のように、CVの深さに応じて項目数を変える設計も有効です。
なお、フォームを入力しやすく整える改善はEFOと呼ばれます。
フォームの先が決まっていないまま公開される失敗は少なくありません。
資料ダウンロードの通知が共有フォルダに溜まり、誰も追わないまま数カ月が過ぎる、という事態です。これでは出口を増やした意味がなくなります。
そのため、サイトの設計と同時に「リードをどこに溜めるか」(MA/CRMなどの仕組み)と「誰がいつ追うか」を決めておく必要があります。
ツールの選定や設定はこの記事の範囲を超えるため踏み込みませんが、行き先と担当が未定のCVは放置される、という点だけは先に押さえてください。
なお、広告経由のLPにおけるCV設計は文脈が異なるため、別の記事で解説しています。
> BtoBリスティング広告のLP・CVポイント設計
設計の考え方が見えたところで、誰に作ってもらうかです。制作の全体像、依頼先タイプの選び分け、個社を見極める質問、提案書の読み方、そして「作らない」という選択肢まで、順に見ていきます。社名の比較一覧は挙げません。代わりに、読者が自力で見極められる道具を渡します。
サイト制作は、おおまかに次の4段階で進みます。
| 1 | 戦略設計 | サイトの目的、誰に・何を・どの順で見せるか、成果の指標を決める |
| 2 | 設計 | ページ構成・画面設計(ワイヤーフレーム)に落とし込み、要件定義(作るものの条件を確定する工程)を行う |
| 3 | 制作 | デザイン・原稿・実装で形にする |
| 4 | 運用 | 公開後、成果を見ながら直し続ける |
各段階の詳しい中身には踏み込みませんが、1つだけ強調します。
成果の差は最初の戦略設計で決まることが多い、ということです。ここまでの章で整理してきた内容は、すべてこの戦略設計の材料です。
依頼先は、社名の前にタイプで絞るのが実務的です。
| 依頼先タイプ | 向いているケース | 向きにくいケース |
| Web制作会社 | 設計から実装まで制作を一括で任せたい | 公開後の改善やリード獲得の運用まで求める場合は、対応範囲の確認が必要 |
| 広告代理店・マーケティング支援会社 | リード獲得の設計や公開後の改善まで並走してほしい | デザイン刷新など制作物だけが目的の場合 |
| フリーランス | 目的と要件が明確で、範囲の限られた制作・改修 | 戦略設計や社内の複数部門の調整から任せたい場合 |
| SaaS型サイト作成ツール・ノーコード | 早く低コストで最低限の情報を公開したい | 購買プロセスに合わせた設計や将来の拡張が必要な場合 |
| 内製 | 社内に担当者と時間を確保でき、更新頻度が高い | 兼務のみで時間が取れない場合 |
選び分けの軸は3つです。BtoBの購買プロセスを設計できるか。公開後まで並走できるか。
社内のリソースをどれだけ割けるか。
デザインの刷新だけが目的ならフリーランスで十分な場合もありますし、リード獲得の設計から必要なら支援会社が向きます。
ただし「BtoBが分かるか」はタイプでは決まりません。個社ごとの見極めが必要で、そのための道具が次の質問リストです。
商談で次の10の質問を投げると、「BtoBの購買プロセスを理解した会社か」「作った後まで見る会社か」を見分ける手がかりになります。
| 質問 | 確かめること | |
| 1 | 最初に何をヒアリングしますか | 課題起点か、テンプレート起点か |
| 2 | 当社の購買プロセスや商談の流れを確認しますか | BtoBの構造を設計に使う会社か |
| 3 | ターゲットと想定読者を、誰とどう定義しますか | 「誰に見せるか」の設計力 |
| 4 | ページ構成の根拠をどう説明しますか | 型の流用か、逆算の設計か |
| 5 | 原稿や掲載情報の整理は誰が行いますか | 社内負担をどれだけ見込むべきか |
| 6 | 公開後の改善は契約に含められますか | 納品で終わる前提の会社か |
| 7 | 効果測定は何をどう見ますか | 成果の定義を持っているか |
| 8 | 過去のBtoB案件で、成果をどう定義しましたか | アクセス数以外の指標で語れるか |
| 9 | 「作らない方がいい」と提案したことはありますか | 顧客の利益で判断する会社か |
| 10 | 納品後の窓口と対応範囲はどうなりますか | 運用フェーズの体制 |
答えの見分け方を2つ例示します。
質問1で、貴社の課題や商談の流れを聞く前にデザインやページ数の話から入る会社は、テンプレート起点の可能性があります。質問9に「あります。課題を伺った結果、サイトではなくLPだけをご提案しました」と具体的に答えられる会社は、作ること以外の選択肢を持っています。
使い方のコツは、相見積の場で全社に同じ質問を投げることです。答えを横に並べて比較できるので、提案書だけでは見えない各社の前提が浮かび上がります。
この10問で完全に見極められるわけではありませんが、発注前に確かめられることは大きく増えます。
サイト制作の見積金額には、数十万円から数百万円までの幅があります。
同じ依頼内容でもなぜ会社によって金額が大きく違うのか、という論点は費用をテーマにした記事に譲り、ここでは金額の前に見るべきところを挙げます。
提案書で確認するのは3点です。貴社の課題が書かれているか。ターゲットの定義があるか。公開後の話があるか。課題のヒアリングを経ずに、ページ数と制作期間だけが書かれた定型の提案書が届くこともあります。その提案は、どの会社に対しても同じものかもしれません。
また、サイトへの支出は社内に対して投資として説明する必要があり、その組み立てにも型があります。
費用相場と見積の読み解き方、投資としての説明の組み立ては、別の記事で詳しく扱います。
提案を受けても、発注しないことが最適解の場合があります。選択肢は全面リニューアルだけではありません。
たとえば問い合わせが来ない原因が「フォームの項目が多すぎる」ことにあるなら、直すべきは1ページで済みます。
全面リニューアルは最も時間と費用のかかる選択肢であり、常に最初に選ぶべきものではありません。
サイトを作ることそのものが商品である会社からは、この結論は構造的に出にくいものです。
これは各社の姿勢の問題ではなく、立場上の制約です。だからこそ発注する側が、「作らない選択肢はないか」という問いを自分で持っておく必要があります。
どれが正解かは、商材・営業体制・現状のサイトによって変わります。
作る・作らないの判断が済んでも、最後にもう1つ決めることが残っています。公開後の体制です。
サイトは公開時点が最低品質で、そこから直し続けて初めて成果が出ます。
「前回のリニューアルも、公開後1年で更新が止まった」という会社は、この章の内容を発注前に決めておくことで同じ失敗を防げます。
多くの契約で、制作会社の責任は納品(公開)までです。
保守契約を結んでいても、その中身はサーバー管理や不具合対応であって、成果の改善ではないことが一般的です。
公開後、次の仕事は社内に残ります。
公開3カ月後に「事例を追加したいが、どこにどう頼めばいいか分からない」と止まってしまう、というつまずきはこの切れ目で起こります。
前回のリニューアルが放置に至ったのだとしたら、原因は担当者の怠慢ではなく、この「残る仕事」の担い手を決めていなかったことにある可能性が高いのです。
効果測定というと指標の数を増やしがちですが、まず次の3つに絞ることをおすすめします。
| 1 | 問い合わせ・資料請求の件数 |
| 2 | そこから商談につながった数 |
| 3 | 営業の説明コストの変化(初回商談の質が変わったか。営業への聞き取りによる定性把握で構いません) |
アクセス数を主指標にしないのは、アクセス数だけでは商談への距離が測れないためです。アクセスが2倍になっても商談がゼロなら、サイトは仕事をしていません。
そして指標そのものより重要なのが、「誰が月次で見るか」の取り決めです。
月初の10分、マーケティング担当が3つの数字を営業会議に持っていく。この程度の運用でも、決まってさえいれば「気づいたら1年誰も見ていなかった」は防げます。
アクセス解析ツールの設定手順より先に、指標の名前と見る人を決めてください。
運用の担い手の判断軸は、社内の時間・スキル・更新頻度の3つです。
掲載情報の更新が中心であれば、WordPressなどのCMS(社内でページを更新できる仕組み)を前提にした内製が現実的です。
一方で、週に数時間しか割けない兼務の担当者が「内製で回します」と宣言し、3カ月で止まる、というのは典型的なつまずきです。
どちらを選んでもよいのですが、「指標を見て直し続ける」機能が実際に回ることが条件になります。
あわせて、公開後の運用・改善には制作費とは別に費用がかかります。
この分を最初から予算に入れておくことが、「作って終わり」を防ぐ予算面の備えです。
LPの改善費まで含めた予算の組み方は、別の記事で扱います。
BtoBサイトの成果は、デザインの新しさではなく、購買プロセスから逆算した構造と、公開後に直し続ける体制で決まります。
BtoCとの違いは購買の構造にあり、その構造がページ構成からCVポイント、公開後の運用まで、サイトのあらゆる設計を変えます。
BtoBのホームページ制作に取りかかる前に、今日からできる最初の一歩は3つです。
| 1 | 自社サイトをスマートフォンで開き、商談相手のつもりで3つの問い(相手が知りたいことが載っているか・読む人ごとの答えがあるか・次の行動が用意されているか)で点検する |
| 2 | 公開後に見る指標3つと、月次で見る担当者を決める |
| 3 | 制作会社に投げる質問を書き出してから、商談・相見積に臨む |
どこまで作るべきか、そもそも作り直すべきなのかは、商材と営業体制によって変わります。
この記事の判断軸を自社に当てはめ、迷う部分があれば、発注を決める前に外部の意見を聞いてみてください。